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国際会計基準(IFRS)がやってくる。 連載第8回
「包括利益計算書が先行発信」

vol.8

前号のコラムでは、IFRSの利益概念として「包括利益」が採用され、経営指標としての
利益に対する考え方が変わっていくであろうとお話しました。

前号コラム配信後の2009年12月25日に、企業会計基準委員会より
「包括利益の表示に関する会計基準(案)」 が公開されました。
ここで「包括利益はIFRS適用後のテーマでは?」と思われる方もいらっしゃると思いますが、
結論として、包括利益はIFRS適用よりも一足早く、コンバージェンスの一環として早期に適用が決まりました。

気になる適用時期ですが、来期(平成22年度の会計期)からの適用になります。
(正しくは、平成22年度会計期の「年度末」からの適用となります。)
非常に急な適用という印象も受けますが、この背景として
・包括利益は現行の財務諸表にて表現されている内容からも集計可能
・国際会計基準へのコンバージェンスを加速させる
といった点が挙げられるようです。

尚、包括利益表示にあたっては、会計システムにおける財務諸表の出力機能において変更が必要になる見込みです。
開示方法としては、次の2通りの方法から対応いただくことになります。(いずれも損益計算書の変更となります。)

1.「損益及び包括利益計算書」として出力
2.「損益計算書」&「包括利益計算書」として2帳票で出力

2.は現状のP/Lをほぼそのままに、包括利益に特化した財務諸表を新たに追加して開示する方法、
1.は現行のP/Lに対して包括利益の要素を組み入れるという表示形式となります。
IFRSでは1.の方法を推奨しているようですが、どちらの方法も認められるようです。

「包括利益」自体の説明は前号のコラム(※)を参照いただくことにして、この包括利益の登場により、
具体的にはどのような影響があるのでしょうか?
(※前回コラムはこちら)

例えば、保有している有価証券の時価評価差額はB/Sに計上されていても、これを売却した際には、
取得価額と売却額の差額を売却損益としてP/Lに計上していました。
これが、今後は「その他包括利益」という枠で従来のP/Lとは異なる枠組みで表現されてしまうため、
従来の利益に含めて表現することができなくなります。
(逆に、本業の利益は見えやすくなります。)
また、なじみの深い経常利益の項目が消えている点も大きな特徴です。

包括利益については当初の想定時期よりも早期に適用となり、IFRS適用へ向かって、
さらにアクセルが踏まれているように思えます。
目前となった包括利益計算書への対応ももちろん必要ですが、IFRSに対する理解を深めるとともに、
あらためて経営指標の見直しなども早期に実施していく必要がありそうです。

次号も引き続き、IFRSに関するコラムを配信予定です。

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