コラム

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2018.08.22
ERPノート

クラウドERPコラム(第1回)– 改めて考える、ERP導入のメリット

さまざまな情報システムのなかで、30年以上にわたって利用されているソフトウェアの一つに「ERPシステム」があります。経営資源であるヒト、モノ、カネ、情報を最適に配分することで、経営や業務を最適化することを目指すものです。デジタル変革が叫ばれているいま、改めてERPの価値、メリットを考えてみましょう。

1. 会計から人事・給与、販売、資産を統合管理

ERP(Enterprise Resources Planning)は、経営資源であるヒト、モノ、カネ、情報を最適に配分することで、経営や業務を最適化することを目指したソフトウェアです。

経営資源を最適に配分するためには、経営に関わるさまざまな部門部署を対象にする必要があります。例えば、製造業なら、モノをどのくらい製造して、どのくらい販売し、どのくらい儲かったかを把握する必要があります。また、その際にはどのくらいのお金とヒトをかけたかを把握する必要があります。

同じように、流通業やサービス業などでも、どのくらいのお金とヒトをかけてモノを仕入れ、販売することで、どのくらい儲かったかを把握していくことが求められます。関連する部署も多岐にわたり、営業や製造といった利益を生み出す部門だけでなく、経理、財務、人事などの間接部門も含まれます。

このため、ERPシステムでは、経営の基盤となる財務会計・管理会計を中心に、人事・給与、資産管理、販売・購買管理、資産管理に至るまで、企業の基幹業務をトータルに支援することが求められます。

図1:経営資源であるヒト、モノ、カネ、情報を統合管理
図1:経営資源であるヒト、モノ、カネ、情報を統合管理

企業の基幹業務をトータルで支援できるということは、ERPシステムをうまく活用していくことで、経営を効率化したり、事業を大きく拡大したりできるということでもあります。

2. 「守りのIT」としてのERPのメリット

では、ERPは企業にどのようなメリットをもたらすのでしょうか。ここでは「守りのIT」と「攻めのIT」という2つの側面からERPのメリットを整理してみましょう。

売上から費用を引いたものが企業の利益です。一般に「守りのIT」とは、売上の増加をたらさないものの、費用を削減し、企業の利益に貢献するITのことを指しています。具体的には、業務の効率化や生産性の向上などです。

ERPの特徴の一つは、さまざまな業務にかかわるデータを一元的に管理することにあります。このことが、業務の効率化や生産性の向上に大きく貢献します。

例えば、会計業務では、販売によって上がる売上や従業員が申請する経費に関するデータを入力し直しているケースが多くあると思います。ERPでは、売上や経費が計上するデータを利用するため、入力作業が二重になることはなく、人件費や運用管理費などを削減することにつながります。

また、データを一元管理することで、ガバナンスを効かせたり、セキュリティを高めたりすることもできます。データによりこれまで見えていなかった経営状況を可視化することにも役立ちます。

このように、ERPは「守りのIT」において、業務改善やTCO削減、ガバナンスやセキュリティの強化、経営の可視化といったメリットをもたらすのです。

3. 「攻めのIT」としてのERPのメリット

一方、「攻めのIT」についてはどうでしょうか。攻めのITとは、売上を直接的に増加させたり、新しい事業の種を巻いたりするITのことを指しています。一般に、ERPシステムは、こういった攻めのITにはあまり効果がないと思われています。

しかし、昨今のビジネス環境を見ると、むしろ、ERPが攻めのITに果たす役割は大きくなっていると言えます。具体的には、デジタル変革(デジタルトランスフォーメーション)や働き方改革などの取り組みがそうです。

デジタル変革の取り組みとしては、新しいモバイルアプリやサービスなどを提供して、顧客や取引先の体験価値を高めるといったものがあります。それまで「モノ」を売っていた製造業が、サービス業のような「コト」を売るようにシフトする取り組みなどです。

顧客の体験価値を高めるうえで重要になるのがデータです。ERPシステムに蓄積された多様なデータや、顧客の属性や購入履歴などを分析することで、顧客が次に何を購入しようとしているのか、最適な商品をレコメンドできるようになるでしょう。
働き方改革についても、スマホアプリで経費精算を行って時間を効率的に使ったり、クラウドサービスを使って顧客や取引先のデータ更新をスピーディーに行ったりすることが重要になってきます。

そのほか、蓄積されたデータを基にした高度な分析やシミュレーション、データに裏づけられたスピーディーな意思決定、タレントマネジメントなどの人材の最適配置も可能になります。このようにERPシステムは「攻めのIT」においても、新サービスのためにデータを提供したり、新しいコミュニケーションのために働きやすい環境を提供したりといったメリットをもたらします。

図2:ERPのメリット
図2:ERPのメリット

4. 今後のポイントは、クラウドERPの活用

すでにお気づきかもしれませんが、「守りのIT」と「攻めのIT」でメリットを引き出すためのカギなるのがクラウドサービスです。

昨今のビジネス環境を反映して、ヒト、モノ、カネ、情報は、各地に分散するようになりました。拠点のデータを一元管理したり、さまざまなデバイスから収集されるデータを把握したりするには、オンプレミス環境で構築した基盤のみでは対応が難しくなっています。

そこで、ERPシステムそのものをクラウド化し、いつどこからでも好きなタイミングでデータを管理できるようにするわけです。実際、メールやスケジュール管理などがクラウドサービスへ移行したように、ERPシステムにおいてもクラウド化が急速に進んでいます。

次回のコラムでは、ERPシステムのクラウド化が「どのように進んでいるのか」、「もたらすメリットは何か」などをご紹介します。

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