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2021.09.06
経営・ビジネス用語解説

ビジネスインテリジェンス(BI):データ経営やDXを進めるための大きな武器【知っておきたい経営・ビジネス用語解説】

ビジネスインテリジェンス(BI)とは、企業内に保持するデータを収集、蓄積、分析、加工、可視化し、ビジネスにおいて最適な意思決定を支援するシステムや概念を指します。

1. ビジネスインテリジェンス(BI)とは

ビジネスインテリジェンス(BI)は、データを収集、蓄積、分析、加工、可視化することにより、データという定量的な根拠をもとにして、業務や経営の意思決定を支援する手法です。そして、BIを実際に行う際に有用なのがBIツールです。

従来多くの組織では、直感や経験に基づいてビジネスの意思決定が下されています。そうした方法が有用である一方で、長期的な視点に立つと、BIツールによってデータによる客観的な裏付けをもって意思決定することがビジネスの成功につながります。

2. BIツールでどんなことができるか、導入のメリット

BIツールで実施できる主な機能には、レポート作成、ダッシュボードによるデータの可視化、多次元分析、データマイニングなどの各機能があります。

レポート作成機能は、社内外のデータを集め、経営層をはじめとした管理職が必要とする情報をレポート形式で生成するものです。なじみのあるものとして、上場企業が提出を義務化されている四半期ごとの決算レポートが挙げられるでしょう。

ダッシュボードによるデータの可視化は、まるで専用のダッシュボードのように、レポーティングや後述する多次元分析機能のOLAP(Online Analytical Processing:オンライン分析処理)、データマイニングなどの結果をBIツールの画面上で参照できる機能です。クラウドサービス普及の流れもあり、インターネット環境があれば、短時間で集計・分析した結果を閲覧できるBIツールもあります。

多次元分析機能は、OLAPと呼ばれています。データベースに蓄積した大量のデータに対して、集計処理やより複雑な問い合わせを実施し、売上報告や市場分析、予算の策定、財務諸表の作成など、ユーザーが必要とする情報を抽出できます。OLAPはさらに、MOLAP(多次元OLAP)、ROLAP (リレーショナルOLAP)、HOLAP (ハイブリッドOLAP)に細分化されます。

データマイニング機能は、統計学をはじめ、パターン認識、AI(人工知能)などの最新の情報処理技術を活用して、パターンや予測などの大量のデータを分析することで、人の分析能力を超えるような発見を促すものです。もともとは、「スーパーマーケットでおむつを買う人はビールを一緒に購入する傾向がある」という法則を、データウェアハウスが掘り出した(マイニング)という米国の事例などから、データマイニングと呼ばれるようになったと言われています。現代はさらにコンピューティングの処理能力が高まっており、BIツールによるビッグデータ解析は大きなトピックになっています。

図:BIがもたらす価値

図:BIがもたらす価値

3. BIツールの活用シーンと事例

BIツールは、企業のさまざまな部門で活用できます。

経営管理部門

売上高、経常利益率、損益分岐点といった経営指標や自社が重視するKPIの確認、目標と実績の達成度合いである予実管理などを簡単に行えます。また、為替の変動が売上や利益にどう影響するかなどをシミュレーションすることも可能です。

営業・マーケティング部門

SFAやCRMに入力された受注見込みを、担当者別・顧客別・商品別・確度別などさまざまな切り口でリアルタイムに追うことができます。また、ある商品と一緒に売れる商品、天候の違いによる来店者数の変化、エリア別の来店者数などを分析することで、仕入れ量を変えたり、広告ターゲットを絞り込んだりといったマーケティング活動も可能になります。

人事部門

勤怠状況、研修の状況、業務の成果、上長の評価、同僚の評価など多様なデータに基づいた人事評価が行えます。また、社員アンケートの結果などを分析することで、従業員の育成方針を策定する、従業員満足度を向上させるなど、的確な対応策を実施できます。

4. ERPとBIツールの関係性、併用のメリット

上記の例のように、BIツールはERPやサプライチェーンマネジメント(SCM)、CRMやSFAなど企業の中心的なシステムと連携することで、より多くのデータを多角的に活用できるようになり、その機能が持つ効用をさらなる発揮が期待できます。

特にERPには、会計、人事給与、販売管理などに関するデータが蓄積されていますので、こうしたさまざまなソースのデータをBIツールで色々な切り口から分析することにより、自社が持つビジネスチャンスや改善点を見つける取り組みを日常のビジネスプロセスの中に組み込むことができます。より多くのデータソースを連携させてBIツールを活用することが、BI導入を成功させるために大切になってきます。

5. ProActiveとBIツールの連携

SCSKが提供するERP「ProActive」では、BIツールとの連携用データを出力できる環境を提供しています。BIツールの導入において大きな障壁となるデータ定義やレポート定義が不要で、インストールが完了すれば、すぐに30種類以上のデータ分析軸を持ったデータ活用環境を構築できる点がメリットです。

ユーザーがそれぞれ担当する業務を遂行する上で、必要な情報を自由に抽出し、レポーティングできます。ユーザーは自らのPDCAサイクルを強化できるため、結果として組織全体の生産性向上を見込めます。

例えば、エネルギー事業とメカトロニクス事業を手掛ける郵船商事では、「ProActive E²」とBIツールを連携させることで集計作業負荷の削減、さまざまな切り口による実績分析を行っています。同社は、事業規模の拡大に対応するため、営業の事務作業にかかるコスト削減と拡販の必要に迫られる中、新たな販売管理基盤の構築に向けProActive E²を導入。エネルギー事業とメカトロニクス事業の2大事業の業務フローを統合し、業務の標準化を実現、営業事務の生産性が大幅に向上しました。また、販売実績管理においては、BIツールとの連携によって実績・収支管理の集計作業負荷を削減。さらに、鮮度の高い情報を活用してBIツールで実績分析を行うことで、さまざまな切り口で分析できるようになり、より早く、的確なアクションプランの策定を可能にしています。

あらゆる業種・業態でデジタルトランスフォーメーション(DX)が推進され、国がその動きを全面的にサポートしている状況です。データ活用・分析が企業活動の根幹になっており、BIツールの存在価値は今後ますます高まっていくと考えられます。

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