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SCSKの健康経営事例①
「社内禁煙プロジェクト」にみる経営哲学

SCSKの健康経営事例①「社内禁煙プロジェクト」にみる経営哲学

※本ブログは、2025年3月17日に旧ブログ(note:SCSK健康経営)にて掲載したものを、内容はそのままに当サイトへ移設・再掲載しております。ご参考までに、掲載内容は、当時の情報となりますことをご了承ください。

はじめに

前回のブログでは、SCSKの健康経営が10年間にわたって成果を出すことができた理由の一つとして、その根幹となった理念をご紹介しました。その際に浮き彫りになったのは、単なる制度や施策の導入ではなく、企業文化として健康経営を根づかせることの重要性です。

今回は、当社におけるこれらの理念の実践例として、社内における健康経営の明文化と禁煙プロジェクトに焦点を当ててご紹介したいと思います。

1)就業規則における健康経営の明記
2)社内禁煙の取り組み

これらの取り組みは、SCSKが健康経営を単なるスローガンに留めることなく具体的な行動に移していること、さらにそこから成果を出し続けていることを示すものです。

就業規則への健康経営の明記が大きな反響に

2015年、SCSKは健康経営を企業の経営戦略の一環と捉え、当時において画期的な決断を下しました。それは、健康経営を企業経営における不変の真理として位置づけ、就業規則に明記することで、従業員の健康を追求する姿勢を明確にすることでした。

その宣言の全文を引用させていただきます。

この宣言は、健康経営の理念を組織全体に浸透させ、全社員が共有すべき共通認識として位置づけることで、企業として継続的にこの理念にコミットすることを明確に示したものです。

また、この就業規則への明記は、「健康経営の理念」に続く項目がとても重要でした。

会社が必要な措置を講ずることを社員に約束し、社員としては積極的に健康保持増進に努めることを約束するのです。

お互いが手を取り合い、協力する関係性が明文化されたのです。

こうした取り組みは社内外から注目を集め、他の企業にも大きな影響を与えました。当社との情報交換を通してこの取り組みを知ったいくつかの企業においては、すぐに同様のルールを社内規則化して、我々を驚かせました。この一連の改革は、単なる社内ルールを超えて、企業が社会に対してどのような責任を持ち、どんな未来を目指しているかを示す、とても重要な出来事だったと感じています。

また、就業規則への健康経営に関する明記として、禁煙の取り組みがあります。これらの取り組みは段階的に進められ、まずは2013年に所定就業時間中の禁煙を明記、続いて2016年には、職場懇親会などにおける受動喫煙防止も追記しました。これらの施策は、社員の健康を組織的かつ体系的に守る意志の表れと言えます。

社長自らの禁煙体験を語り、複数の打ち手による劇的な減少

就業規則に禁煙と受動喫煙防止を明記することから遡ること2009年には、全館禁煙の実施に踏み切りました。その2年前の2007年に産業医との共同声明とともに全館禁煙の宣言を行うなど、一定の期間も置きつつ段階的な取り組みを踏んできました。ただ、喫煙場所を無くすことがゴールではありません。経営トップはこれらの取り組みと並行して、とてもユニークかつ人間味にあふれる方法で社員のサポートを行いました。

それは、まず経営トップ自らが率先して禁煙した経験を語り、役員一人ひとりに「私もできたのだから、君たちにもできる」と声をかけることでした。経営トップ本人も元々はヘビースモーカーで、卒煙を成し遂げた経験者です。禁煙の苦労や卒煙の価値を知っていたからこそ、その言葉には、単なる指示ではなく本気で禁煙を勧めているという確かな重みがあったのです。

役員を含めすべての喫煙者を対象として始めた禁煙キャンペーンは、少しずつ効果を発揮していきました。全館禁煙により、そもそも喫煙する場所がなくなり、タバコを吸いながらの雑談の機会がなくなります。そうすると、社内交流や情報収集の手段としての喫煙は意味を成さなくなります。その後、デスクを離れて喫煙場所に行く人も徐々に少なくなり、喫煙者にとっては居心地が悪くなったのではないでしょうか。

さらに、単なる禁煙の掛け声や喫煙場所の撤去だけに留まらず、タイミングを見計らい、卒煙キャンペーンとして、卒煙成功者には5万円の福利厚生ポイントが付与される仕組みを導入。併せて、経営トップ自らが手紙を書いたのです。宛先は家族でした。その中身は、施策成功に向けて、家族の支援を取りつける周到な対応。本キャンペーンでは、約500名が参加し、その約300名が「禁煙成功者」として認定されたのです。後日、成功者から卒煙で得たポイントを利用して家族旅行をした話なども事務局に届きました。

これらの取り組みを通じて、喫煙場所を無くし、やめる後押しであるキャンペーンや手紙を通じた家族の巻き込みを経て、所定就業時間中の禁煙を明記に至ったのです。時間をかけて環境を整え、きっかけやサポートを通じて実現させたのです。

昨今、受動喫煙の問題もあり、スモハラと呼ばれるケースもあります。当社では喫煙に対して早々に向き合い、少しずつではありますが改善することで喫煙に関する課題を未然に防ぐこととなったのではないかと感じています。

2010年当時までは試行錯誤して、男性35%、女性8%まで減少させた喫煙率を、キャンペーンを通じて、大きく減少させたのです。現在では、全社の喫煙率は13.4%(2023年度)と、さらに減少しています。

(ただ、現在の喫煙率が理想的な値になっているかと問われると、そうとも言いきれないところもありますが、この点については、別の機会にお伝えしたいと思います。)

健康経営が生み出す新しい企業価値

SCSKにおける健康経営は、単に従業員の健康状態を管理・増進させるだけでなく、組織の持続的な成長に貢献する戦略的な取り組みともなっています。

今回の禁煙プロジェクトを例にとっても、単に従業員の喫煙率が減少しただけではなく、組織文化そのものの変革を促すことで、企業価値の向上へと繋がっています。これは、健康経営が単なる健康増進策ではなく、組織文化の変革につながる戦略的な投資であることを示唆しています。

まとめ

今回は、SCSKの健康経営の底辺・根幹にある理念の実践例として、

1)就業規則における健康経営の明記
2)社内禁煙の取り組み

をご紹介いたしました。これらの取り組みは、単なる施策を超えて、企業文化そのものを変革する新しい試みだったといえます。

次回は、同様にこれらの理念を体現する好事例と考える「残業削減の取り組み」をご紹介いたします。

※「健康経営®」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。

今日の健康経営あるある

禁煙の取り組みにおいて、喫煙者からは「なんで自分ばかり、責められるの…」、非喫煙者からは「なんで喫煙者だけ、インセンティブもらえるの…」それぞれ言い分はありますね。
当初、SCSKでも卒煙チャレンジとして、喫煙者の成功報酬としてインセンティブを支給していましたが、その後、応援者を設定し、その応援者が最終的に数カ月間のプログラム終了時に、「卒煙判定」を行うことに。
見事成功したら、応援者にもインセンティブ。みんなで分けあう施策へと発展しました。

SCSK株式会社 PROACTIVE事業本部 Uwellビジネス部 部長(兼)人事本部 Well-Being推進部

杉岡孝祐

住商情報システム株式会社(現SCSK株式会社)入社。 人事(採用、育成、人事企画)11年、広報(社内外情報発信、メディア対応など)10年経験。 広報部時代の2011年に経営統合(現在のSCSKに)を経験し、その後の「働き方改革」「健康経営」を広報の責任者として、社内外へ発信。各種メディア対応を通じ、社内外へのPRを実現。 2019年4月より人事に異動し、健康経営の企画・推進責任者。 2023年4月、健康経営の新規事業化を目的に異動。(人事兼務)

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