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SCSKの健康経営~その成功の秘訣とは~

SCSKの健康経営~その成功の秘訣とは~

※本ブログは、2025年5月7日に旧ブログ(note:SCSK健康経営)にて掲載したものを、内容はそのままに当サイトへ移設・再掲載しております。ご参考までに、掲載内容は、当時の情報となりますことをご了承ください。

はじめに

前回のブログでお伝えしたように、私たちSCSKは2011年の経営統合以来、健康経営(含む働き方改革)に積極的に取り組んできました。その結果、月間平均残業時間を27.8時間から20時間を下回ることを成功させた一方で、営業利益を169億円から570億円へと大きく伸ばすことができました。これは、「働き方改革と業績向上は両立できない」という当時の常識を覆す成果でした。
私は、健康経営を成功させるためには、以下の3つの要素が不可欠だと考えています。

  • 1)経営トップのコミットメント
  • 2)社員の自分事化を促す分かりやすいメッセージ
  • 3)いくばくかのインセンティブによる後押し

ここに、「データの可視化と共有」を加えることにより、組織的な取り組みが加わり、取り組みが加速するのです。
今回のブログでは、3つの要素である「メッセージ」「インセンティブ」と共に、「データ」がどのように私たちの健康経営を支えてきたのか、具体的に紹介していきます。

成功の秘訣その①:トップメッセージの力

腹落ちする言葉の重要性

「業務時間を減らせば、お客様に迷惑がかかる」
これまでのブログにてお伝えした当社の残業削減の取り組みが始まった当初、社内にはこうした声が多く聞かれました。

そのような中、経営トップは、社員一人ひとりの「腹落ち」なくして、真の変革は実現しないと考えました。そこで、当時の経営トップは社員に向けてメッセージを打ち出しました。
「社員が健康に働くことは、我々の社会の基盤である」と役員会で発言したのです。そして、このような役員会で頻繁に人事施策、特に働き方改革や健康経営の必要性について、語ったのです。

このメッセージは、
「社員の健康を害して得る利益に何の価値があるのか?」
「働き方を変え、意識を変え、クリエイティブな仕事へと転換できない限り、当社にも業界にも日本にも未来はない」という言葉となって、社内に強く印象づけられることになりました。
特に、「(社員の)やる気を支えるのは健康である」というシンプルな呼びかけは、単なるスローガンではなく社員一人ひとりの実感と重なり、多くの共感を呼びました。

成功の秘訣その②:インセンティブの活用

「健康わくわくマイレージ」の導入

理念と施策、この両輪が揃ってこそ、健康経営は真価を発揮します。2015年に導入された「健康わくわくマイレージ」は、これらの両輪を実現する取り組みとなりました。社員の参加や行動変容を促すインセンティブを採り入れたことが、この施策の特徴であり、現在も続いています。

このプログラムは、健康増進活動へのポイント付与という単純な仕組みでしたが、その効果は実は限定的でした。日々の入力そのものは面倒であり、ついつい忘れてしまうものです。

インセンティブ設計の工夫

こうして、個人の行動変容を促すことに一石を投じた訳ですが、それは必ずしも全社に浸透とまでは言えない状況でした。初年度10万円を越えるインセンティブを手に入れた社員がいたことをご紹介しましたが、ここに至るまでにおいて、実は期中にルールの追加をするとともに、経営トップから家族あてに手紙を送付したほどです。個人インセンティブだけでなく、組織全体で健康づくりに取り組む体制の構築を目指し、部署単位での表彰制度として、インセンティブ支給方法を追加したのです。そして、家族の皆さんにもこれらの取り組みの協力依頼もしたのです。これにより、「健康づくりは個人の問題」という認識から「組織全体で取り組むべき経営課題」であり「家族の関心事」へと変化させることができたのです。

これは、働き方改革で組織的に取り組み、実現できた成功体験が大きく寄与していると言えます。つまり、この成功体験から、組織的な対応への適応力がついたと言えるのです。
こうした組織的な取り組みが評価され、2015年以降11年連続で「健康経営銘柄」の選定を受けることができました。これは、これまでの取り組みが社会的に認められた証であり、さらに「社会から認められた」という誇りが、社員全体の新たなモチベーションとなって、健康経営の取り組みを加速させていく大きな原動力にもなったのです。

成功の秘訣その③:データ活用

データドリブンな実践とその共有

何かを変え、定着させるには「見える化」が必要な要素の一つです。2014年から導入した「健康に関するアンケート」は、社員の声をもとに、施策立案に向けた一つの根拠を与えました。
社員の健康に関する主観的データと客観的データをもとに、施策とその改善を計画し、実行する。このシンプルな仕組みを地道に継続することは、着実に成果を上げることにつながります。
定期健康診断受診率100%、再検査対応率100%、ストレスチェック受検率90%以上―――。当社が達成したこれらの数字は、単なる数値目標の達成以上に価値があるものでした。これはいわば、社員一人ひとりの健康を大切にする私たちの理念が、具体的な形となって表れた証そのものだったのです。

データがもたらした具体的な成果

これらのデータは、多くの気づきにつながりました。
コロナ禍で在宅勤務となり歩く事が減る。すると特定保健指導該当者(メタボ)が増える。そのこと自体は予想の範囲ですが、私たちがメッセージを通じて、呼びかけてもどうしようもないかもしれない、と半ばあきらめていましたが、翌年度の該当率が下がったのです。そして、その後も下降トレンドを維持しているのです。この事実は、社員一人ひとりの健康を意識し、(メタボに該当した際)どうすれば良いのか、といった健康に関するリテラシーが着実に高まっていることを示しています。
また、「健康に関するアンケート」を通じて、両立(仕事と治療・介護・育児)でなにに困っているのか、両立させるためにはなにが必要なのか、両立者の割合や推移など具体的な数字とともに、改善にむけた声を聞く事で一つひとつ対応ができるのです。

これらのデータは、役員会で重要なテーマとして取り上げられ、議論されています。「なんとなくそう思う」といった個々人の「感覚」ではなく、実際に得られたデータという「事実」に基づいた議論を行うことで、次の施策をより正確に判断し、決定することができるようになったのです。

次回は、こうした「健康経営の成功の秘訣」を実践した具体例として「健康わくわくマイレージ」の詳細をご紹介します。私たちが追求してきた「メッセージ」「インセンティブ」「データ活用」の取り組みが最も効果的に体現するこのプログラムについて、導入時の試行錯誤や、現場からの改善提案がどのように反映されてきたのか、具体的な事例とともに紹介したいと思います。

※「健康経営®」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。

今日の健康経営あるある

健康わくわくマイレージを導入し、一定の年数がたった頃、私にとってある社員の言葉がとても印象に残りました。

「出社したら、7,000歩は確実に達するし、お客様先に外出したら10,000歩は超えるね。でも在宅勤務だったら、1,000歩くらい。ここで、どうするかが問題なんですよ。」

この言葉を聞いて、私は社内への浸透度は確実に高まったと思いました。(当然ですが、濃淡はありますが…)
これは、日々の活動量が行動パターンに応じて把握できている証拠であり、少ないことに対して「では、どうする」をしっかりと考えていることにとても価値があるのです。

皆さん、日々の歩数、把握できていますか?

SCSK株式会社 PROACTIVE事業本部 Uwellビジネス部 部長(兼)人事本部 Well-Being推進部

杉岡孝祐

住商情報システム株式会社(現SCSK株式会社)入社。 人事(採用、育成、人事企画)11年、広報(社内外情報発信、メディア対応など)10年経験。 広報部時代の2011年に経営統合(現在のSCSKに)を経験し、その後の「働き方改革」「健康経営」を広報の責任者として、社内外へ発信。各種メディア対応を通じ、社内外へのPRを実現。 2019年4月より人事に異動し、健康経営の企画・推進責任者。 2023年4月、健康経営の新規事業化を目的に異動。(人事兼務)

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