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健康経営の成功事例
~健康わくわくマイレージの軌跡とは~

健康経営の成功事例~健康わくわくマイレージの軌跡とは~

※本ブログは、2025年5月19日に旧ブログ(note:SCSK健康経営)にて掲載したものを、内容はそのままに当サイトへ移設・再掲載しております。ご参考までに、掲載内容は、当時の情報となりますことをご了承ください。

はじめに~データが語る健康経営の成果とは

多くのIT業界では、長時間労働が常態化しているのが現状でした。当社も例外ではありませんでしたが、「このままでは、会社の未来も、業界の未来も、日本の未来もない」との強い意思のもと、残業を削減し、有給休暇を取得し、売上や営業利益を下げることなく成功することができたのです。
この成功の次の施策として、健康に良い行動習慣の定着と健診結果の良化を目的とした「健康わくわくマイレージ」をスタートさせました。以前のブログでは、健康経営を成功させるための秘訣として、以下の3つの要素を紹介しました。

  • 1)経営トップのコミットメント
  • 2)社員の自分事化を促す分かりやすいメッセージ
  • 3)いくばくかのインセンティブによる後押し

ここに、「データの可視化と共有」が加わり、組織的なアプローチが完成したのです。
そこで今回は、「健康わくわくマイレージ」という施策の中で、これらの要素をどのように具体的に実践してきたのか、実際の数字も交えながら詳しく説明します。

健康経営への揺るがない想い

当社が健康経営に本格的に取り組み始めたのは、新聞・雑誌等のメディアで「健康経営」という言葉が広く使われる前のことでした。

私たちの取り組みの根底には、健康経営の理念にもある通り「社員一人ひとりの健康は、個々人やその家族の幸せと事業の発展の礎」といった強い信念がありました。そして「従業員の健康増進は、コストではなく投資である(役員会での発言)」という健康経営への想いが、その後の施策展開に繋がっていったのです。

「健康わくわくマイレージ」の組織的アプローチ

2015年に開始した「健康わくわくマイレージ」は、社員の日常的な健康行動の実践を記録・評価する仕組みでした。歩数、歯磨き、朝食摂取、休肝日設定などの基本的な健康習慣に加え、健康関連研修への参加も評価項目に含め、包括的な健康増進を目指したのです。

特に注目すべきは、取り組み状況のデータを月次で可視化し、組織単位で管理・共有する仕組みを取り入れたことでした。役員会やライン職へのメールを通じて、健康診断予約・受診状況や健康わくわくマイレージの入力状況といった様々な情報を部署ごとに集計・共有することで、組織全体の健康意識を高めることに成功したのです。

また、各部署の健康わくわくマイレージの達成状況は、組織単位でのインセンティブにも反映される仕組みとなっており、これは社員の健康増進への意識を高める動機づけの一つとなりました。部署全体で健康増進に取り組むことで、個人の行動変容だけでなく、職場全体での健康的な組織文化の醸成にもつながったのです。

経営陣が自ら示した「本気度」

とりわけ画期的だったのは、健康わくわくマイレージ役員版「どきどきマイレージ」の導入です。これは一般社員が行う通常のマイレージとは異なり、役員本人の実践はもとより、所管部門の達成状況が芳しくない場合にはマイナスのインセンティブが与えられる、という厳格な仕組みでした。

「役員の皆さんにとっての健康は、場合によっては経営上のリスクになり得ること。一層力を入れて取り組んでもらいたい」「役員自らが先頭をきって、取り組んでもらいたい」という経営トップの考えのもと、独自のルールを作成し、その取り組みについては徹底的な対応を求めました。

現場での実践と創意工夫

このような経営陣の本気度は、現場での自発的な健康増進活動を生み出すきっかけとなりました。その一例として、社員の間から「懇親会の会場まで歩いて参加する」といったように自然と歩く事に対する取り組みが広がっていったのです。例えば、豊洲本社の隣駅(月島)で懇親会があるならば、20分程度歩いて移動し、参加します。同様に、有楽町・銀座界隈での飲み会も、1時間ほど歩いて参加するケースも出たほどです。

データで見る成果と気づき

「健康わくわくマイレージ」の特筆すべき成果の一つが、記録率(参加率)99%という驚異的な数字です。これは、組織ごとの達成状況を役員会で報告する仕組みを導入したことが大きく影響しています。定期健康診断においても、受診率100%、再検査対応率100%という高い水準を維持しています。

一方で、貴重な学びも得ました。2015年からの3年間の実績を踏まえ、それまでの全社一律の統一目標から個々人の目標設定(個別目標)に変更した際、制度が複雑になりすぎて「よく分からない」「どう設定すれば良いの?」という反応が増え、個々人が先送りした結果、達成率が低下したのです。(行動経済学における「決定麻痺」に当てはまります)
この経験から、「分かりやすさの重要性」という教訓を得ることができました。

まとめ~健康経営の未来に向けて

このようにして私たちはさまざまな試行錯誤を重ねつつも、社員一人ひとりの状況に寄り添った健康管理を心がけてきました。この姿勢は、「働きやすい、やりがいのある会社を作ることが経営の軸である」という経営理念と合致します。
その結果、健康経営の取り組みは確かな成果を上げてきました。喫煙率の13.4%への低下や、様々な健康指標の改善はその確たる証と言えるでしょう。
「健康管理は社長が経営者として判断しリードすべき分野である」。私たちは、この言葉に込められた決意と共に、今後も健康経営の進化を追求していきます。

次回は、他社の健康経営担当者との意見交換を通して見えてきた課題と、それに対するヒントとなるような当社の事例をご紹介します。

※「健康経営®」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。

今日の健康経営あるある

健康わくわくマイレージ導入時、「週1回以上の休肝日設定」がありました。
この制度の運用面において、とても興味深い質問がありました。ある社員から「休肝日は0時を過ぎれば、それまでの日は休肝日として認められるのでしょうか?」と。事務局からは、「大人の対応をしてください」と返答するしかありませんでした。
このように、時に微笑ましい反応を含みながらも、一つひとつ丁寧に対応しながらも、役職員の方々に着実に健康意識は浸透していったのです。

SCSK株式会社 PROACTIVE事業本部 Uwellビジネス部 部長(兼)人事本部 Well-Being推進部

杉岡孝祐

住商情報システム株式会社(現SCSK株式会社)入社。 人事(採用、育成、人事企画)11年、広報(社内外情報発信、メディア対応など)10年経験。 広報部時代の2011年に経営統合(現在のSCSKに)を経験し、その後の「働き方改革」「健康経営」を広報の責任者として、社内外へ発信。各種メディア対応を通じ、社内外へのPRを実現。 2019年4月より人事に異動し、健康経営の企画・推進責任者。 2023年4月、健康経営の新規事業化を目的に異動。(人事兼務)

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