コラム

【2021年】年末調整の改正点について、社労士が解説
今年も年末調整を行う時期になりました。年末調整は、給与の支払いを受ける人について、毎月の給与支払いの際に控除される源泉徴収税額と、その年の給与総額について納めるべき税額を比較し、その過不足を清算する手続きです。
今年度は、昨年度の大規模な改正と比較して改正点は少ないですが、年末調整業務を行う前にポイントを確認しておきましょう。
今回の記事では、人事労務のエキスパートとして様々なサービスを全国に展開する小林労務が、令和3年度年末調整の改正点について解説します。
1. 税務関係書類における押印義務の見直し
令和3年度の税制改正により、以下の年末調整申告書類について、押印が不要となりました。
【押印が不要となる申告書】
- 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
- 給与所得者の保険料控除申告書
- 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書
- 住宅借入金等特別控除証明書
2. 年末調整申告書を電磁的方法で提供する場合の税務署への事前申告の
廃止
昨年までは、年末調整申告書を電子化するためには、事前に所轄税務署に「源泉徴収に関する申告書に記載すべき事項の電磁的方法による提供の承認申請書」を提出し、承認を得る必要がありました。
今回の改正では、以下の申告書の事前承認が不要になります。
- (1)給与所得者の扶養控除等申告書
- (2)従たる給与についての扶養控除等申告書
- (3)給与所得者の配偶者控除等申告書
- (4)給与所得者の基礎控除申告書
- (5)給与所得者の保険料控除申告書
- (6)給与所得者の住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除申告書
- (7)所得金額調整控除申告書
- (8)退職所得の受給に関する申告書
- (9)公的年金等の受給者の扶養親族等申告書
3. 住宅ローン控除の特例の見直し
新型コロナウイルス感染拡大による住宅の買い控え対策として、令和3年1月1日から令和4年12月31日の期間に入居した場合、住宅ローン控除期間が3年間延長されます。
【対象住宅】
消費税の税率が10%である場合の住宅の取得等で、次の期間内に契約が締結されている場合。
- 注文住宅の新築
令和2年10月1日から令和3年9月30日まで - 分譲住宅や増改築等
令和2年12月1日から令和3年11月30日まで
また、今回の改正により床面積の条件が緩和され、40m²以上で住宅ローン控除(13年間)の適用が受けられるようになります。この場合、控除期間のうち、個人の合計所得金額が1,000万円を超える年については、適用されません。
4. おわりに
政府は、行政手続等のデジタル化を推進していますので、今後も年末調整業務の効率化を図っていくものと考えられます。人事・総務担当者は、税制改正をしっかり理解し、社内対応の準備を進めましょう。

株式会社小林労務(https://www.kobayashiroumu.jp/)
代表取締役社長 特定社会保険労務士
上村 美由紀
2006年 社会保険労務士登録
2014年 代表取締役社長就任
電子申請を取り入れることにより、業務効率化・残業時間削減を実現。
2016年に、東京ワークライフバランス認定企業の長時間労働削減取組部門に認定される。
社労士ベンダーとして、電子申請を推進していくことを使命としている。
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