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SCSKが実現した自律的な健康経営における10年間の成果とは

SCSKが実現した自律的な健康経営における10年間の成果とは

※本ブログは、2025年4月21日に旧ブログ(note:SCSK健康経営)にて掲載したものを、内容はそのままに当サイトへ移設・再掲載しております。ご参考までに、掲載内容は、当時の情報となりますことをご了承ください。

はじめに

これまでのブログでは、SCSKの健康経営の基本となる理念や方針についてお伝えしてきました。

実は、働き方改革・健康経営の取り組みを開始して間もない時期(2013年~2015年)においては、週一回行われる役員会で、経営トップが人事施策(主に、働き方改革、健康経営、ダイバーシティ、人事戦略)について積極的にコメントをしていました。
そこでの発言の一例を挙げると、
「やる気を支えるのは健康。健康の維持・増進には留意してほしい」
「健康管理は社長が経営者として判断し、主導すべき分野」
といったように、当社は社員の健康を企業価値の源と捉えて、実践してきたのです。

今回は、当社における理念や方針に基づいた健康経営の成果を解説していきます。

健康経営において大切にしてきたこと

当社の健康経営において大切にしてきた考えがあります。

「一人ひとりの社員の心身の健康の維持向上」
「社員が能力を発揮でき、成長できる環境を整える」
「社員の働きがいの維持向上」

当社では、これらの実現に向けて、社員の健康に対する意識向上と、健康の維持改善につながる行動習慣の定着を重視してきました。特に重要視したのは、社員一人ひとりが自らの健康について主体的に考え、行動に紐づけていくプロセスです。

当社の健康経営の特徴は、社員の健康に関するアンケートを通じて、社員の皆さんの声に耳を傾けてきたことです。2014年度からそれまで喫煙の状況確認であったアンケートを見直し、「健康に関するアンケート」へと進化させ、日々の食生活や運動習慣など生活習慣に関する情報を収集し始めました。その後、2018年度からは健康経営の成果指標である「プレゼンティーイズム(出社はしているものの、心身の不調により本来の能力が発揮できない状態)」、「アブセンティーイズム(病気による欠勤)」、「ワーク・エンゲイジメント(仕事への活力・熱意・没頭)」、セルフケアに加え、健康の大切さ実感度、健康に関する知識(ヘルスリテラシー)など、さまざまな指標を順次追加してきました。現在では、Well-Beingを含めた総合的な健康意識調査として、社員の皆さんの健康意識を多角的に収集しています。

健康診断結果(有所見状況)やストレスチェックの結果、さらにこれらのアンケートの結果を含め、私たちは社員や組織の健康状態を理解し、それぞれの課題に応じた効果的な施策や支援を提供することへとシフトしたのです。情報に基づく施策の立案と改善は、当社の健康経営における重要な特徴となっています。

当社の取り組みにおける試行錯誤

当社は、2015年に、総合健康増進施策「健康わくわくマイレージ」を開始しました。この施策は、社員の健康習慣(運動、食事、歯磨き等)の定着と健診結果の良化を目的としていましたが、初年度はインセンティブ支給達成者の割合が45%と低迷しました。この数字は、健康増進の取り組みへの参加を促すことは、容易ではないことを意味しています。事実、本施策開始当初は「会社が個人の健康にとやかく言わないで」「おせっかい過ぎるのでは」との指摘も受けたのです。

この施策では、インセンティブとして、約1億円を用意していました。この費用の予算化については、以前のブログにてご紹介した残業削減によって生まれた費用(浮いた残業代)を全額返還する一部として割り当てたものです。初年度は見込んでいた達成率に満たなかったため、結果として一人当たりの支給額(還元額)が予定していた2~3万円相当を大きく上回る10万円を越えるケースが何人も出たのでした。支給日当日、社内でこの支給額が大きな話題となり、施策担当者宛に電話やメールで立て続けに質問が入ってきました。結果として、このインセンティブ支給の判断が本施策のルール周知に大いに役立ち、翌年度の参加率・達成率は当初の見込みに近づいたのでした。インセンティブの設計が行動変容を後押しする重要な要素の一つとなることを私たちに教えてくれました。

さらに、施策を取り進めていくと、ケガなどで一時的に歩くことが困難な社員は、ウォーキングなどの項目を含む施策に取り組むことが難しく、インセンティブを受け取れないことへのガッカリ感やあきらめが参加離脱につながる、といった課題も明らかになりました。これを受けて、そういった社員に対しては、歩数の項目を評価対象から除外し、それ以外の項目(歯磨きや朝食の摂取など)のみを評価対象とすることで、参加・継続に向けた配慮にも取り組んだのです。この改善プロセスは、一つの施策を始め、定着するためのステップとして、出てくる課題への対応と定着まで一定の時間がかかることを示しています。

まとめ~10年の歩みが示す価値共創の成果

SCSKの健康経営が成果を出してきた背景には、以下の2つが大きく関わっていると考えています。
1つ目は、目的を明確にしたこと。
そして2つ目は、明確な目的に沿ってデータを活用したPDCAサイクルを実施したことです。

当社の健康サーベイにおける「健康を意識して維持していくことが、自分と家族の幸せにつながると実感」という設問に対し、「実感」「まあ実感」の回答は、2014年の72.4%から2023年には91.2%まで上昇しました。同様に、従業員エンゲイジメントの数値は、2014年の79.9%から2023年には89.3%にまで上昇しました。これを当社の健康経営の直接の成果と謳うことは言い過ぎかもしれませんが、データに基づく施策立案と、継続的なPDCAサイクルによる改善の継続的な努力がこの数値に貢献していることは、見て取れると思います。

このような取り組みの過程において、経営トップは「働きやすい、やりがいのある会社を作ることが経営の軸」であるという認識のもと、健康経営を推進してきました。さらに、2021年度からは健康経営からWell-Being経営へと進化を遂げています。

このように、必ずしも最初から全てが上手くいっているわけではありませんが、明確な目的のもと、データに基づく施策の展開と、その結果を踏まえた丁寧な改善を含めたPDCAサイクルを回し続けることこそが当社の健康経営の真骨頂であり、今後も追求していくべき重要な価値であることを学んだのです。

※「健康経営®」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。

今日の健康経営あるある

健康施策を企画・実行すると、おおよそ3年でその施策が終了する、との声を聞きます。
これは、施策の参加者が一巡して、参加者そのものが減ってしまうから、とのことです。
当社で10年以上継続できているのはなぜか?
今回のブログでご紹介した、目的をどこに置くのか、なのかもしれません。歩く事や寝ることが目的ではなく、そこから健康の大切さや日頃の生活(仕事や家族との時間)がプラスになることを実感してもらうことなのではないでしょうか。
そこに、私たちは健康経営の理念として「健康は個々人や家族の幸せと事業の発展の礎」と定義し、継続してきているのです。
毎年、新卒採用中途採用で数百名の新たな仲間が増えており、これまでの取り組み内容を継続的に発信することも重要なのです。

SCSK株式会社 PROACTIVE事業本部 Uwellビジネス部 部長(兼)人事本部 Well-Being推進部

杉岡孝祐

住商情報システム株式会社(現SCSK株式会社)入社。 人事(採用、育成、人事企画)11年、広報(社内外情報発信、メディア対応など)10年経験。 広報部時代の2011年に経営統合(現在のSCSKに)を経験し、その後の「働き方改革」「健康経営」を広報の責任者として、社内外へ発信。各種メディア対応を通じ、社内外へのPRを実現。 2019年4月より人事に異動し、健康経営の企画・推進責任者。 2023年4月、健康経営の新規事業化を目的に異動。(人事兼務)

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