コラム
300人へのアンケート調査から考察。
「経費精算業務」を効率化するためのヒント
SCSKが実施した経費申請・精算業務に関するアンケート調査※1によると、電子帳簿保存法の改正もあり、電子データ化を進めて業務を効率化させることに関心が高まっていることが明らかになりました。今回のコラムでは、アンケート結果の一部を紹介しながら、経費関連業務を効率化するためのヒントを紹介します。
1. 「省力化できない仕事」ではなくなった経費精算業務
いま、経費関連業務は大きく変わりつつあります。改正された電子帳簿保存法では、スマートフォンなどでの撮影によるデータ化が認められ、電子データ化した書類に関しては原本を破棄することも認められています。このように法律の面からも、レシートや領収書など経費関連書類の電子化・スキャナ保存が推進されています。
こうした流れを受けて、新しいソリューションの導入を進める企業が次第に増加し、もはや経費関連業務の電子化は、珍しいものではなくなっています。これは、SCSKが2019年8月に実施した、国内企業経理財務部門300名の方々への「経費精算業務」に関するアンケート調査※1を見ても明らかです。
「電子帳簿保存法のスキャナ保存の対応(システム化)に興味はありますか」という設問に対し、100名~499名の企業は53.0%が「はい」と回答し、従業員1,000名以上の企業では65.0%の人が「はい」と回答しています。また、「経費精算のための領収書管理はどうしていますか」という設問では、1,000名以上の大手企業のうち3割弱の企業が、「スキャナで読み取り保管」と回答しています。
図1:電子帳簿保存法のスキャナ保存の対応(システム化)に興味はありますか
スキャナ保存は、業務の効率化だけでなく、経費精算の正確性やガバナンス強化というメリットも生み出します。つまり、経費内容・金額の確認では大きな金額だけは詳細にチェックする企業が多く負担が重いので、少額の経費についてはチェックをしていないことも少なくありませんが、システム化することで少額の経費も含めて正確性を高めることが可能になります。そして「経費については額を問わず、公明正大に正確に、迅速に処理する」といった考え方を社員が持ちやすい環境を作ることができるのです。
図2:提出された全ての経費の内容や金額が正しいかの確認作業は負担になっていますか
図3:提出された全ての経費の内容や金額が正しいかの確認をしないのはなぜですか(複数回答)
このアンケート調査では、こうした経理の現場ならではの調査がなされています。ご興味ある方は、ぜひレポートをダウンロードしてご参照ください。
※1【調査レポート】経費申請・精算業務は経理部門にとって重荷? ~経理財務部門300名への調査からわかった対応策のヒント~
2. 文字認識のレベルが向上した「AI-OCR」で、経費精算業務に革命が
このアンケート結果からもわかるとおり、経費関連書類の電子化・スキャナ保存は業務を大きく変える可能性を持っています。働き方改革だけでなく、これまでなかなか実現できなかった詳細な経費分析も可能となり、経営全体にも影響を及ぼす成果も期待できます。
こうした経費のデータ化を具体的に進める手段の一つが、「AI-OCR」です。AI-OCRは、従来のOCRにAIを搭載したもので、スキャナ画像の領収書の内容を認識しデジタルデータ化します。この技術では、あらかじめ一般に見受けられる文字の癖や領収書などの書式を学習しているAIを搭載することで、全体の認識率を大幅に向上させています。また「AI-OCR」は、文字認識だけでなく、文字列の中から、会社名、金額、住所、という区別も高い精度で実行できるため、電子データ化として利用する場合、手間がかからずさらに省力化できます。
さらに、交通費計算など、各鉄道会社の最新データもビルトインされ、特殊な書式や文字列などについても、後から学習させ対応させることができます。RPA(Robotic Process Automation)と連動させてシステムへのデータ入力も自動化させることで、大幅にミスを少なくすることができます。
例えば、SCSKのERP「ProActive経費」で利用できる「AI-OCR ソリューション」は、領収書をスマートフォンで撮影することで、AIにより「日付」「金額」「会社」を瞬時に読み取り素早くデータ化、打ち込みより格段に速く、正確に入力できます。手書き領収書もラクラクと認識し、撮影した領収書の信頼性まで判断してくれます。これにより、一般的に精度80%未満といわれている経費精算の処理を、95%以上の高い精度で実現します。
AI-OCRによって、経費精算をする側の社員はスピーディーに精算処理が行えるようになります。同時に、精算業務を担当する経理部門でも、大量の入力とチェック業務を軽減できます。「なかなか自動化できないから仕方がない」とあきらめるのではなく、経費関連業務こそ、いま最も負担を減らしやすい業務だと認識することが大切です。
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