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更新日:2023.03.27
公開日:2020.09.29
人事労務トピックス

【給与BPO】人事・給与計算業務のアウトソーシングの検討ポイントやメリットを紹介

給与BPOとは、給与計算業務を外部の専門企業にアウトソースすることです。近年ではシステムと一体で提供されることにより、大企業だけでなく、中堅企業でも導入されることが増えており、業務負担の削減や効率化、コスト削減などのメリットが期待できます。今回は、給与BPOを検討する際に押さえておくべきポイントやメリットについてご紹介します。

1. 給与BPO・給与計算アウトソーシングとは

給与BPOとは、給与計算や年末調整・確定申告などの外部委託(アウトソーシング)です。給与計算業務に必要なスキルを有するスタッフが、ミスのない業務を行ってくれる、税制改正などがあった場合でも迅速に対応してくれる、という点から利用している企業も少なくありません。

給与計算業務は、給与や賞与の総支給額、控除額、手取り額などを個々の従業員について計算し、それに基づいて正しく給与や賞与を支払う業務です。また、年末調整や源泉徴収した所得税、住民税の納税などの作業も発生します。税金や社会保険などの公的手続きの反映を適正に行うとともに、少しの計算ミスも許されないため、締日から支払日までの短期間で正確に業務を行うことが要求されます。また、短期間に業務が集中するため、残業や休日出勤を余儀なくされるケースも多いでしょう。
給与BPOによって、これらの責任が重く負担の大きい業務を、専門家に任せることができます。

(1)給与BPO・給与計算アウトソーシングで依頼できる業務

給与BPOで依頼できる業務は、給与処理や年末調整だけと思いがちですが、それ以外にも勤怠管理や人事データの管理などをサービス項目に挙げている事業者も増えてきました。以下は、給与BPOで依頼できる具体的な業務例です。

• 給与計算
• 振込、納税
• 年末調整の結果反映
• 住民税更新
• 勤怠管理
• 人事データの管理
• 各種社保手続きの結果反映
• 証明書発行
• マイナンバー管理
• 退職所得税計算の結果反映
• 入社手続き

このように、給与・賞与計算や年末調整以外にも人事・総務・労務分野のあらゆるサポートが可能なサービスもあります。

(2)給与BPO・給与計算アウトソーシングにかかる費用、料金相場

給与計算や関連業務をアウトソースできる給与BPOですが、導入するにはどのくらい費用がかかるのでしょうか。社員50人程度の場合の料金相場は、下記の通りです。

<社員50人程度の場合の比較>
給与計算代行のみ・・・4〜6万円程度/月
年末調整代行・住民税更新代行まで依頼する場合・・・10〜20万円程度/月

料金は基本の給与計算代行のみ依頼する場合と、年末調整結果反映や住民税更新代行まで依頼する場合で倍以上変わるのが一般的です。サービス利用前に、自社の状況を考慮して価格に見合うサービスかしっかりと検討しておきましょう。

2. 給与BPO・給与計算アウトソーシングを利用するメリット

給与BPOの利用には、以下3つのメリットがあります。

• 属人化対策や業務負担の削減
• コストの削減
• 法令への正しい対応が可能

ここからは、それぞれ詳しくみていきましょう。

(1)属人化対策や業務負担の削減

給与計算をアウトソーシングする給与BPOのメリットとして、まず挙げられるのが属人化リスクの軽減です。
給与計算は、社員それぞれの給与という個人情報を扱う業務のため、情報の取り扱いに慎重にならざるを得ず、限られた人員で対応することが少なくありません。これには、業務負担が特定の人員に偏るというほか、不正の温床になるリスクもあります。アウトソースすることで、この問題の解決にアプローチできます。

さらに、業務負担の削減にも効果を発揮してくれます。
給与計算業務は高い正確さが求められるため、社内で継続して実施していくには一定数の社員を確保しておく必要があり、退職などで欠員が出れば採用を行わなければなりません。仮に採用したスタッフにスキルが不足している場合には、教育コストもかかります。繁忙期における残業・休日出勤など、働き方改革に関わる課題もついてまわるでしょう。

給与BPO・給与アウトソーシングを利用すれば自社での対応が不要になり、負担が削減できます。

(2)コストの削減

給与計算業務は、多くが定型的な業務でありながら、コストや手間がかかります。そうしたことから、計算業務は外部の専門企業にすべて委託し、社員には人材採用や社員教育関連など、社内スタッフでなければできない付加価値の高い業務をしてもらうほうが合理的、と考える企業も多くなっています。
人員の最適化により、時間的コストの削減や効率のアップを図ることができます。また、給与計算のためのソフトウェアやシステム・パソコンなどのOA機器を購入、整備する必要からも解放されます。

(3)法令への正しい対応が可能

給与計算に関する税や社会保険の制度、労務関連の法律は、ほぼ毎年のように変更されます。担当者はそのたびに新しいルールの確認が必要となり、システムへの反映も行わなければなりません。
給与BPOを活用すれば、法対応に関する確認から適した対応まで一連の負担から解放されます。法改正説明会などの情報収集や教育にかかる時間や手間がなくなれば、担当者はより重要な業務へ専念できるようになるでしょう。

3. 給与BPO・給与計算アウトソーシングを利用するデメリット

給与BPOを利用するデメリットは、主に以下の2つです。

• ノウハウを持つ社内人材がいなくなる
• 全業務をアウトソーシングできない

それぞれ詳しくみていきましょう。

(1)ノウハウを持つ社内人材がいなくなる

給与BPOの1つ目のデメリットは、給与計算業務に詳しい社内人材がいなくなる可能性があることです。

「どのような仕事も社員のなかにエキスパートがいなくてはならない」という考えの場合には、方針にそぐわなくなります。
しかし給与計算業務は、どのような企業においても基本的に業務内容は同じです。給与BPOの事業者と密な連携をとっていれば、いざというときに全く対応できなくなるのでは…ということについて心配する必要はないでしょう。

(2)全業務をアウトソーシングできない

給与BPOでも、ある程度の業務は自社で行う必要があります。業務負担をゼロにすることはできません。勤怠管理や従業員情報の更新など、アウトソーシングしづらい業務は社内に残ってしまうことが多いでしょう。

また、アウトソーシングは社内で処理するよりも期日が早めに設定されるのが一般的なため、結果的に給与BPOサービス利用前よりも特定の期間の多忙度が増してしまう可能性もあります。

このように一概に負担が軽くなるとは言えないため、給与BPO・給与計算アウトソーシングを検討する際は、自社の状況を整理して利用すべきかを判断しなくてはなりません。

4. 給与BPO・給与計算アウトソーシングの利用が向いている企業

ここからは、どのような企業が給与BPO・給与計算アウトソーシングの利用に向いているのかをお伝えしていきます。

• 正確に給与計算を行いたい
• 担当者の業務量が多い
• 属人化している
• 少ない労力で情報漏えい対策をしたい

従業員数に比例して給与計算に関連する業務量も増大します。大手でなくても10人程度から負担が大きくなってきますので、一つの目安として考えてください。ミスを減らしたい場合や情報漏えいリスクへの対策をしたい場合も有効です。
さらに、担当者の業務量が多く本来の業務に支障をきたしていたり残業が多かったりする場合、または担当者1人に属人化してしまっている場合もアウトソーシングを検討する価値があります。

5. 給与BPO・給与計算アウトソーシング先を選ぶポイント

多くの事業者が給与BPOサービスを提供しています。多様なスタッフを抱える事業者とITベンダーが協業して提供するケースや、給与計算だけでなく、人事管理や勤怠管理などとも連携することで人事業務全体の効率化も実現できるサービスもあります。以下に、アウトソーシング先を選ぶ際のポイントをまとめましたので、参考にしてください。

<選び方のポイント>
• 専門的知識を有しているか
• 実績
• 情報管理方法や安全性
• 料金
• 業務スピードや柔軟性
• BCP
• 提供システム

まず、アウトソース先が抱えている専門スタッフの人数や、これまでの導入実績などが重要になります。また、災害やパンデミックなどが発生しても十分に対応できるかというBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)の観点も注目すべきでしょう。さらに提供しているシステムがどのようなものなのか、どのような流れで依頼、処理されるのかも、大切なチェックポイントとなります。導入前にしっかりと確認しておきましょう。

6. 給与BPO・給与計算アウトソーシングを依頼できるおすすめサービス

給与BPOを依頼できるおすすめサービスとして、IT分野の専門家であるSCSKと人事労務分野のBPOサービスを提供する株式会社パソナHRソリューションとの協業ソリューション「人事給与BPOサービス」が挙げられます。パソナHRソリューションは、約70,000名の経験豊富なスタッフが在籍し、オペレーションは大阪・岡山BPOセンターにて実施しています。

(1)SCSKの人事給与BPOサービスの特徴

前述の通り、人事給与領域の経験豊富なパソナグループによる高品質なオペレーションが強みのサービスです。

また、SCSKのクラウドERP「ProActive」をシステムとして利用しており、通勤旅費申請など各種申請を電子化し、社員が各自で入力・申請できるため、担当者の業務量削減を実現しています。さらに、クラウド人事労務ソフト「SmartHR」とも連携可能で、業務やデータを集約し、雇用契約や入社手続き、年末調整などの人事労務業務の効率化をすることができるのも特長です。

(2)SCSKの人事給与BPOサービスの導入事例

SCSKと人事労務分野のBPOサービスを提供する株式会社パソナHRソリューションとの協業ソリューション「人事給与BPOサービス」には、多くの実績があります。

例えば、業務用清掃洗浄剤、清掃用機器などを扱うシーバイエス社では全国に9拠点、約500名の社員と派遣社員が在籍しています。人事に関する業務は「勤怠管理」「給与・社会保険」「退職金」をそれぞれ3 社にアウトソーシングしていましたが、「ProActive」を活用した人事給与BPOサービスを利用することで、約1.5人相当の業務量を削減し、人事関連情報の一元管理を実現しました。

事例:シーバイエス株式会社

また、光ファイバー回線を軸としたサービスの提供を主要業務とする中部テレコミュニケーションでも、「ProActive」を活用した人事給与BPOサービスにより、業務量を50%削減し、業務コストを14.7%削減することができました。現在では、人事と給与のデータが一元化されており、大きな効率化が実現できていると高く評価されています。

事例:中部テレコミュニケーション株式会社

給与BPOを検討する際は、こうした事例も参考にしてみてください。

岡 佳伸

社会保険労務士法人 岡 佳伸事務所
岡 佳伸

大手人材派遣会社にて1万人規模の派遣社員給与計算及び社会保険手続きに携わる。自動車部品メーカーなどで総務人事労務を担当した後に、労働局職員(ハローワーク勤務・厚生労働事務官)としてキャリア支援や雇用保険適用、給付の窓口業務、助成金関連業務に携わる。
現在は開業社会保険労務士として複数の顧問先の給与計算及び社会保険手続きの事務を担当。各種実務講演会講師および社会保険・労務関連記事執筆・監修、TV出演、新聞記事取材などの実績多数。特定社会保険労務士、キャリアコンサルタント、1級ファイナンシャル・プランニング技能士。

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