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コラム

2021.06.01 ♦法制度♦

国税局OBの税理士が解説する「消費税インボイス制度」
後編 -- 消費税インボイス制度における電子インボイスとは?

2023年10月1日から導入される適格請求書等保存方式(以下、「消費税インボイス制度」といいます)では、適格請求書の発行は電磁的記録で行うこともできるように法改正されています。電磁的記録で発行された適格請求書のことを本コラムでは「電子インボイス」と呼びます。
前回のコラムでは消費税のインボイス制度について解説しましたが、本稿では電子インボイスについて解説します。
(著:SKJ総合税理士事務所 所長 税理士 袖山 喜久造 氏)

1. 電子インボイスの取り扱い

消費税インボイス制度では、適格請求書の交付や保存を電磁的記録で行うことができます。適格請求書をデータで授受した場合の当該電磁的記録は、電子帳簿保存法で規定する電子取引に該当します。消費税法施行規則15条の5第1項においては、当該適格請求書等に係る電磁的記録の保存に当たっては電子帳簿保存法施行規則第8条第1項の規定に従った保存が必要であると定められています。
電子取引については、取引情報を電磁的方式で授受する取引とされており、電子帳簿保存法第10条において法人税及び所得税の保存義務者は当該電子取引に係る電磁的記録の保存義務が課されています。

2. 電子インボイスに係る電磁的記録の保存義務

電子帳簿保存法(以下、「電帳法」といいます。)第10条では、「所得税及び法人税に係る保存義務者は、電子取引を行った場合には、財務省令で定めるところにより、当該電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存しなければならない」と規定していますが、保存すべき場所に保存するべき期間中、整然とした形式で明瞭な状態で当該データを書面に出力し整理保存する場合には、電子取引に係るデータは書面で保存することも認めています。この書面保存は令和3年度の法改正により令和4年1月1日以降できなくなりますので、電子帳簿保存法の規定に従ったデータの保存を検討することが必要です。

3. 電子インボイスのデータの保存要件

(1)保存場所と保存期間

電子インボイスのデータは、受領者側、発行者側の双方の納税地等で保存します。当該データは納税地で出力することができれば、クラウドなどで保存することも可能です。保存期間は消費税法で規定される7年間となりますが、法人税法の規定で青色申告の承認を受けている会社が繰越欠損金控除を7年を超えて行う場合には最長では11年となります。

(2)電子インボイスのデータ保存上の措置

①データへの措置

電子取引データを保存する場合には、以下のいずれかの措置を行った上でデータを保存する必要があります。

  • イ. タイムスタンプ付与データの授受

    送信者側においてタイムスタンプが付与された取引データを授受する措置です。この場合、送信者側及び受信者側においてタイムスタンプの検証および一括検証機能が必要です。

  • ロ. 電子取引データの授受後遅滞なくタイムスタンプを付与

    送信者側及び受信者側双方で当該取引データに遅滞なくタイムスタンプを付与し、当該取引データの保存担当者等の情報を確認することができるようにしておく措置です。令和4年1月1日以降に行われる電子取引データについて、本措置で行う場合のタイムスタンプは、データの授受後、約二月以内にタイムスタンプを付与することに改正されることになっています。

  • ハ. 訂正削除不可等のシステムを使用して電子取引データを授受及び保存

    電子取引データを訂正又は削除できないシステム、または取引データを訂正又は削除を行った場合の事実及び内容を確認することができるシステムで授受及び保存する措置です。主にクラウドシステムなどにより取引データを訂正削除データとともに授受及び保存するシステムが該当しますが、授受された電子取引データを変更できない方法で文書管理システムなどにデータ移管して保存することも可能となります。

  • ニ. 訂正削除の防止に関する事務処理規程の備付け及び運用

    電子取引データについて、正当な理由がない訂正及び削除の防止に関する事務処理の規程を定め、当該規程に沿った運用と規程の備え付けておく措置です。上記イからハのいずれかの措置で対応できない場合には、社内規程の整備により電子取引データを保存することになります。
    メールに取引書類データを添付して送受信する場合などは、実際には上記イ~ハの措置が行えないことが多く、取引情報の含まれるメールデータについて適正な保存ができるように社内規程を整備する必要があります。
    なお、コロナ禍においては在宅ワークを行うために、メールにより請求書等の取引書類のデータを送受信しているケースが多く見受けられました。このようなメールに添付されたデータは、令和3年中は書面に出力してほかの請求書等とともに整理保存することができましたが、令和4年からは書面保存はできなくなります。メールの添付書類についてはメールデータの保存だけでは十分ではなく、添付書類の種類別に検索要件を満たす方法で保存することが必要です。

②電子取引データの保存要件

電子取引データを保存する場合には以下の要件に従って保存する必要があります。

  • イ. 関係書類の備付け

    電子取引データの授受システムなどのシステムの概要書やデータを閲覧するための操作マニュアルなどを備え付けておきます。

  • ロ. 見読性の確保

    保存期間中、電子取引データは、整然とした形式で明瞭な状態で出力できることが必要です。14インチ以上のディスプレイのあるPC、プリンタに整然とした形式で明瞭な状態で出力できる機器を準備します。

  • ハ. 検索要件

    電子取引データについては、取引データの種類ごとに「取引年月日」、「取引金額」、「取引先」の3項目で検索できることが要件です。検索にあたっては、日付や金額は範囲指定ができること、取引先名称も含め2以上の項目で複合条件設定ができ、検索結果を速やかに表示できることが必要です。
    なお、日付や金額の範囲指定や複合条件設定ができない場合には、検索項目をダウンロードすることにより代替できます。

SKJ総合税理士事務所 所長税理士 袖山 喜久造

SKJ総合税理士事務所
所長 税理士
袖山 喜久造

国税庁調査課、国税局調査部を含め15年間を大企業の法人税調査等事務に従事。
大企業に対する電子帳簿保存法の審査指導担当の情報技術専門官を歴任。平成24年7月退職。
同年11月千代田区神田淡路町で税理士開業。税務コンサルタントのほか、電子帳簿保存法関連のコンサルタントを行う。

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