お役立ちコラム

健康経営のフレームワーク
~継続的進化を支える全体像とは~

健康経営のフレームワーク~継続的進化を支える全体像とは~

※本ブログは、2025年8月18日に旧ブログ(note:SCSK健康経営)にて掲載したものを、内容はそのままに当サイトへ移設・再掲載しております。ご参考までに、掲載内容は、当時の情報となりますことをご了承ください。

はじめに

健康経営に取り組む企業が増える中、「どこから手をつければよいのか」「次のステップは何か」という悩みは少なくありません。健康経営は一度の取り組みで完結せず、継続性が必要です。
そこで今回は、健康経営の全体像をフレームワークの形でお伝えします。フレームワークと言えば、健康経営優良法人の選定基準となっている以下の構成になじみがあるかと思います。

このフレームワークは、各企業の健康経営の取り組みが“経営基盤から現場施策まで”のさまざまなレベルで連動・連携しているか、という視点から5つの枠組みで設定されています。
※出典:平成27年3月2日経済産業省「第5回健康投資ワーキンググループ」事務局資料P5

今回は、このフレームを参考にしながら、健康経営の実践・浸透のステップを意識し、時間軸の考え方も入れてアレンジしたものをご紹介します。なお、今回ご紹介するフレームワークは、当社も参画している健康経営アライアンスの代表幹事会社4社のメンバーにより整理したものであり、今回はこちらを用いて詳しくご紹介します。

フレームワークの構成と意義

このフレームワークでは、健康経営を推進するために、スコープとフェーズという二つの軸を活用しています。
スコープは、経営理念と方針から始まり、組織・体制、制度・施策、そして評価・改善に至るまで、健康経営に関わる幅広い範囲を網羅しています。
一方、フェーズは、健康経営の土台となる部分を整備する段階、実際に施策を実行する段階、そしてそれらを組織全体に浸透させていく段階という三つの段階で構成されています。
このフレームワークを用いることで、健康経営の全体像を俯瞰的に捉え、各段階における課題や目標を明確にすることができます。
それでは、このフレームワークに沿って順番に見ていきましょう。

フレームワークの3つのフェーズ

1. 健康経営の土台整備

最初の土台整備フェーズにおいては、社員の健康保持増進を目的とし、労働安全衛生の法令順守に取り組みます。法定健診の実施と事後措置、安全衛生体制の整備、過重労働対策などが主な内容です。体制としては、事業主と健康保険組合の個別活動、グループ会社への運用展開が中心となります。

2. 健康経営の実践

続く実践フェーズにおいては、組織の活性化と社員のパフォーマンス向上を目的とし、健康経営の方針策定と関連プログラム提供に着手します。自社の特徴や課題を踏まえた健康増進活動の啓蒙とプログラム提供などを行います。このタイミングで、データ活用を意識して、収集するとともに主観的健康状態や客観的健康状態への影響を測定します。

3. 健康経営の浸透

最後の浸透フェーズにおいては、人的資本の獲得と企業価値向上を目的とし、効果検証に基づく継続的改善と社外への影響力拡大を目指します。数値による効果検証を行い、その結果を通じて経営層のコミットメントを引き出します。併せて、健康関連施策とアウトカムを明確化し、無関心層や取引先も巻き込んだ取り組みへと進化させます。このタイミングにおいては、経年変化による健康関連投資のROIモニタリングや非財務情報の開示も可能となり、経営戦略との連動が重要となってきます。

SCSKの健康経営フレームワーク実践事例

当社は2011年の経営統合後、法令で求められる事項の実施や、これまでにお伝えしてきた職場環境の改善(残業削減、有給休暇の取得)などの土台の整備から着手しました。2015年からは、心身ともに健康的な会社となることが、社員の幸せと企業の持続的成長につながるとして、健康経営を推進し、総合的健康増進施策として「健康わくわくマイレージ」導入など実践フェーズへと移行してきました。現在は健康経営を人材戦略の一環と位置付け、事業戦略との連動を踏まえた人的資本経営の取り組みへと進化させるとともに、社外への価値発信を強化する浸透フェーズに至っています。

フレームワークを活用した健康経営推進の4つのポイント

①経営理念と方針:トップのコミットメントが進化を促す

健康経営の進め方は三つの段階を経て推進されます。まず土台作りでは、「健康は企業の責任」と明確にし、法令をしっかり守ることを重視します。次に実践段階では、組織の活性化と業績向上を目指し、社員の健康増進を中心とした具体的な施策を実践していきます。最後に浸透段階では、施策のPDCAを継続的に実践するとともに、健康経営を会社の経営戦略の一つとして取り上げ、協議することで、企業文化として定着させ、自走できるレベルを目指すことが必要です。

②組織・体制:連携の広がりが健康経営を加速する

健康経営を進める組織体制にも段階的な進化が求められます。最初の土台整備の段階では人事部と健康保険組合が別々に動く「分業型」のケースが多いですが、次の実践フェーズでは経営層が関わって部門間の連携を深める「連携型」となっていきます。最終段階である浸透フェーズでは、経営トップの関与も増し、さらにグループ会社や取引先とも協力する「協働型」体制へと進化を遂げるのです。

③制度・施策:シンプルから戦略的へと発展する施策

健康経営の施策も段階的に進化していきます。最初のフェーズの土台整備においては、法律で定められた健康診断の100%受診を目指します。次の実践フェーズでは、自社の課題や目標に応じ、当社の「健康わくわくマイレージ」のような健康増進プログラムを導入します。最終段階である浸透フェーズでは、継続的な改善と無関心層の取り込み、さらに社外への展開を目指します。

④評価・改善:データ活用の高度化が成功を導く

健康経営の成功を左右するのが、効果を測定し改善する仕組みです。最初の土台整備段階では、「特定保健指導参加率は何%か」といった基本的な数字を確認することから始まります。実践フェーズに進むと、「健康施策の結果、社員の健康指標や、健康に関する行動にどのような変化があったか」など、より詳しいデータ分析を行います。さらに浸透段階では、社員のエンゲイジメント、プレゼンティーイズム・アブセンティーイズムなどとの相関を見たり、投資家向けに健康経営の成果を公表したりするようになります。

まとめ

今回は健康経営のフレームワークについてお話ししました。健康経営は、段階を踏んでレベルアップしていくものであり、まず基礎を固め、次に実践に移し、最終的に組織全体に浸透させるという3つのステップがあります。各ステップで効果的な取り組みは異なるため、自社の状況(現在地)を見極めることが大切です。

次回は、当社の健康経営を支援する新しい事業「Uwell」についてご紹介します。

※「健康経営®」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。

今日の健康経営あるある

今回ご紹介したフレームワークですが、健康経営アライアンスの代表幹事4社によるディスカッションを通じて作り上げたものです。
各社の健康経営を振り返り、どのようなステップにて高めてきたのか、そのステップを分かり易く、どの会社にも当てはまることを意識して作り込んでみました。
まだまだ完成とは思っていませんのでぜひ読んでいただいた方々からの感想やご意見を頂ければ、幸いです。
なお、こだわりポイントとしては、土台は基本的な事象であり、その後の実践と浸透においては繰り返しの取り組みであることを強調したく、フレームワークの上段に「 〉」のマークと繰り返しのマークである「↻」を入れています。
らせん状に広がっていくことを意識しており、実践と浸透は試行錯誤の連続です。自社にあった取り組みを、自社の言葉で伝え、少しでも前向きに取り組み、より良い状態へとつながることを願っています。

SCSK株式会社 PROACTIVE事業本部 Uwellビジネス部 部長(兼)人事本部 Well-Being推進部

杉岡孝祐

住商情報システム株式会社(現SCSK株式会社)入社。 人事(採用、育成、人事企画)11年、広報(社内外情報発信、メディア対応など)10年経験。 広報部時代の2011年に経営統合(現在のSCSKに)を経験し、その後の「働き方改革」「健康経営」を広報の責任者として、社内外へ発信。各種メディア対応を通じ、社内外へのPRを実現。 2019年4月より人事に異動し、健康経営の企画・推進責任者。 2023年4月、健康経営の新規事業化を目的に異動。(人事兼務)

Well-being・健康経営の記事