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コラム

2020.08.05 ♦会計♦

税理士が解説! 「収益認識に関する会計基準」とは?

2021年4月1日以降に開始する事業年度から、「収益認識に関する会計基準」が強制適用されることとなります(中小企業の会計処理については、従来どおり企業会計原則等による会計処理が認められます)。今までは収益認識に関する包括的な会計基準は存在していませんでしたが、国際的な基準と整合性をもたせるため、IFRS(国際会計基準)15号「顧客との契約から生じる収益」を取り入れて日本でも新会計基準を適用することとなりました。
(著:東京中央税理士法人 執行役員 竹澤直樹)

収益認識に関する会計基準の概要

新会計基準では、収益の認識を次の5つのステップによって認識することになります。

【ステップ1】顧客との契約を識別

【ステップ2】契約における履行義務を識別

【ステップ3】取引価格の算定

【ステップ4】契約における履行義務に取引価格を配分

【ステップ5】履行義務を充足した時に、または充足するにつれて収益を認識

以下の具体例をもとに、ステップごとに内容を説明します。

【具体例】

  • 1. A社はB(顧客)に商品の販売とそれに伴う保守サービス(2年間)を提供する契約を締結した。
  • 2. 商品は当期首に引き渡し、保守サービスは当期首から翌期末まで提供する。
  • 3. 契約書に記載された対価の額は、総額で12,000千円となっている。
    (出典:国税庁「収益認識に関する会計基準」への対応について)

これを図に示すと、以下のようになります。

新会計基準の収益認識5つのステップ

【ステップ1】顧客との契約を識別

まず収益が生じる対象となる契約を特定し、これが存在することを確認します。顧客と「商品の販売とそれに伴う保守サービスを提供する」という契約を締結しているため、これを契約として識別します。

【ステップ2】契約における履行義務を識別

契約の中に「商品の販売」と「保守サービス」があるため、それぞれを契約の履行義務として識別します。履行義務とは、「顧客に財又はサービスを移転するという顧客との約束」です。最終的な収益の認識は履行義務単位で行うことになるため、ステップ2で収益の認識単位ごとに履行義務を識別します。

【ステップ3】取引価格の算定

契約で対価の額が12,000千円となっているため、この12,000千円が取引価格として算定されます。対価の額が固定価格でない場合、つまり値引きやリベート、返金等、取引の対価に変動性のある金額が含まれる場合には、その変動部分の金額を考慮して取引価格を算定することになります。

【ステップ4】契約における履行義務に取引価格を配分

ステップ2で複数の履行義務が識別された場合には、ステップ3で算定した取引価格を各履行義務に配分します。これにより、各履行義務が充足された時に計上される収益の額が決定します。取引価格の配分は、商品の販売と保守サービスの提供がそれぞれ単独で行われた場合の販売価額(独立販売価格)をもとに行われます。今回の例で、商品の独立販売価格を10,000千円、保守サービスを2,000千円とすると、取引価格12,000千円については商品に10,000千円、保守サービスに2,000千円が配分されます。

【ステップ5】履行義務を充足した時に、または充足するにつれて収益を認識

履行義務が充足した時、つまり契約義務が果たされて財又はサービスに対する支配を顧客が獲得した時点で収益を認識します。収益が認識されるとは、売上が計上されるということです。この収益の認識には、「一時点で充足される履行義務」と「一定の期間にわたり充足される履行義務」があります。例では、商品の販売は一時点で履行義務を充足すると認められるため、商品を引き渡した時点で収益を認識します。保守サービスは一定の期間にわたり履行義務を充足すると認められるため、契約期間である2年間で収益を認識します。

新会計基準の導入による影響

新会計基準を適用することによって、会計処理の変更が必要となるケースがあります。以下のような取引がある場合には会計処理はもちろんのこと、契約書や社内システムなどの見直しが必要となる可能性があります。

1. 代理人取引
商品の販売やサービスの提供を行った者が「本人」か「代理人」かによって、会計処理が異なります。本人に該当する場合は、総額を収益として認識し、代理人に該当する場合には、報酬または手数料の金額(純額)だけを収益として認識します。

代理人取引には百貨店の消化仕入や仲介業が該当しますが、今まで売上高と仕入高を総額で計上していた場合には、代理人として受け取る報酬又は手数料の金額を収益として認識することになります。

2. 返品権付きの販売
顧客が商品を売り手に返品して、対価の全額または一部の返金等を求めることがあります。そのような取引は「返品権付きの販売」となり、従来では、

  • ・販売時に全額を売上に計上
  • ・返品時に売上から減額
  • ・翌期以降に予想される返品について、返品調整引当金を計上

として処理を行っていました。しかし新会計基準では、以下のような取り扱いになります。

  • ・返品されると見込まれる対価を除いて収益を認識
  • ・返品されると見込まれる商品について、受け取る対価の額で返品負債(顧客への返金見込額)を認識
  • ・顧客から商品を回収する権利として返品資産を認識

このような取り扱いの違いにより、返品調整引当金を計上する現行実務とは収益計上額で差異が生じることになります。

3. ポイント引当金
商品販売時に、次回値引きを受けられる特典やポイントを付与することがあります。新会計基準では、このようなポイントが顧客にとって重要な権利を提供する場合には、ポイントを履行義務(将来商品と交換する義務)として識別します。そして、将来ポイントが使われる時や期限切れで消滅する時(義務が履行された時)にポイント分の収益を認識します。

このポイントについては、顧客ごとに期限の管理や利用状況の把握をしなくてはならないため、実務ではシステム改修などの対応が必要となってきます。

4. 出荷基準の取り扱い
物品販売業では、倉庫からの出荷をもって売上を計上する「出荷基準」が実務上認められています。IFRS第15号に従うと、出荷時点では支配の移転を伴っていないため履行義務が充足されていないことになります。出荷から商品が顧客に届くまでの期間が通常の期間(数日間)でない場合には、出荷基準は使えなくなります。

新会計基準の導入により上記のような影響が考えられるため、会計処理だけでなく契約書の作り方や業務プロセス、システムの変更など行う必要が出てきます。早めの準備、対応を進めていきましょう。

ProActiveの対応状況

ProActiveの最新版では、上記でご紹介した「代理人取引(消化仕入、直送取引による受注見合いの発注)における純額計上」と「返品権付き販売」「独立販売価格に基づく配分」のための決算時調整仕訳計上などにも対応し、「収益認識に関する会計基準」の要件に対応する機能を備えています。

[参考]

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