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2019.08.30
ITトピックス

導入事例から読み解く–– 経営情報の可視化を実現するポイント

経営環境の変化に適切に対応するためには、経営情報を全社レベルで可視化し、迅速な意思決定を下すことを可能とする情報基盤を構築する必要があります。今回のコラムでは、経営情報の可視化を実現するポイントを、事例をまじえながら紹介します。

1. 経営情報を多面的に把握・分析し、迅速に可視化する

世界経済の先行きが不透明感を増すなか、企業が持続的な成長を確保しようとすれば、経営環境の変化に柔軟かつ迅速に対応する必要があります。それを実現するためには、経営に関わる情報を把握し、適切に可視化できる環境を構築しなければなりません。実際に、どのような点に注意して経営情報の可視化に取り組めばよいのか、導入事例をもとに成功のポイントを紹介することにしましょう。

経営情報の可視化を成功させるうえでまず重要なポイントになるのが、多様な経営情報を全社レベルで統合し、一元的に管理できる環境を構築することです。多くの事業を展開する企業であればあるほど、多様な切り口の経営情報をより早く把握することが求められます。その環境を実現する手段として注目されるのが、経営情報をセグメント別に集約することを可能とする管理会計です。

高度な管理会計によって、部門やグループに分散する経営情報をセグメント別に集約し、一元的に管理することができれば、自社の経営やビジネスの様々な状況をタイムリーに可視化して分析することが可能になり、意思決定のスピードを高めることができます。しかも、部門やグループといった大きな視点からだけではなく、セグメント別により細かな粒度で分析することが可能になります。例えば、売上ダウンなどの問題が発生した部署や製品などをあぶり出すことも容易にできるようになります。

経営情報の可視化を実現するポイント関連図

2. BIツールとの緊密な連携でタイムリーな可視化を

経営情報の可視化を成功させるうえでもう一つ重要なポイントは、レポーティングやダッシュボードなどの機能を提供するBIツールとの緊密な連携を確保することです。BIツールを適切に連携させることにより、経営情報を多面的に分析し、タイムリーな可視化を実現することが可能になります。しかし、蓄積された経営情報とBIツールとの親和性が低ければ、可視化をリアルタイムに行うことができなかったり、データを分析して可視化するのに手間がかかったりといった問題も生じかねません。

また、BIツールを使って経営情報を分析するにあたっては、データやレポートの定義を行わなければなりませんが、それは決して簡単な作業ではなく、その負荷が導入の障壁になることもあるほどです。したがって、経営情報の基盤を整備するにあたっては、あらかじめBIツールとの連携を前提にして、その能力を最大限に引き出せる環境の構築について検討を進めておく必要があるでしょう。

3. 経営情報の可視化に成功した事例

ここからは、経営情報を可視化して、迅速な意思決定を行う基盤の構築に成功した先進的な事例を具体的に見ていくことにしましょう。

【事例1】霧島ホールディングス
多面的なセグメント別のデータ管理を実現

「黒霧島」「赤霧島」など数多くの焼酎ブランドを展開する霧島ホールディングスは、多面的なセグメント別のデータ管理を実現する管理会計システムの構築に向けて、ProActiveを導入しました。

同社はもともと日々の実績データをリアルタイムに集計していましたが、新システムの構築によって、必要なときに、すぐにセグメント別の会計情報を把握できるようになりました。特に導入当時は、県外への販路拡大を進めるタイミングでしたが、事業別の数字に加えて、地域別などのセグメントを把握することで、地域別の状況をつぶさに確認でき、迅速な意思決定を実現できました。現在も、プロジェクト別、部門別など、多面的にデータを管理し、経営やビジネスの意思決定に役立てています。

同社では、継続的な事業拡大によって、業務処理のボリュームが倍増したにもかかわらず、以前のシステムで必要とされていた支払依頼の分散入力や、自動仕訳などの業務が経理部門だけに集中するという問題を解消したことで、従来とほぼ同等の時間で対応することができており、月次決算も6日で完了させていると言います。

【事例2】郵船商事
各事業の業務プロセスを標準化し、内部統制を強化

石油関連を主とするエネルギー事業、舶用機器をはじめとするメカトロニクス事業という二大事業を展開する郵船商事は、事業規模の拡大に対応するため、営業の事務作業にかかるコストの削減と、さらなる拡販を実現する新たな販売管理の基盤の構築に向け、ProActive E²を導入しました。

同社では、新たな販売管理システムを構築して、二大事業の業務フローを統合したことにより、業務の標準化が実現され、営業事務の生産性が大幅に向上しました。また、売上計上時に請求が、仕入計上時に支払予定のデータが同時に生成されるなど、リアルタイムのデータ連携を実現したことにより、月末月初に集中していた請求・支払の業務が平準化され、月次業務の負荷を軽減することができました。

業務管理や統制面でも大きな効果が出ています。例えば、与信管理では、取引先別与信の可視化と、与信超過取引先との取引抑制が実現されることで、管理レベルが向上しました。また、販売実績管理では、ProActiveとBIツールとの連携によって実績・収支管理の集計作業負荷を無くしただけでなく、鮮度の高い情報を駆使してBIツールで実績分析を行うことにより、様々な切り口で容易に分析できるようになり、より早く、的確なアクションプランの策定が可能になりました。

【先進事例3】Misumi
グループ各社の経営を可視化し、業務効率の向上を実現

地域に密着し暮らしに欠かせない商品やサービスを提供するMisumiのグループ共通システムは、これまで会計と人事・給与が別々のシステムで運用されていましたが、ProActiveの導入を機に、これらのシステムを統合し、新たなグループ共通システムを再構築しました。

新システムでは、システム統合により、ハードウェアの運用コストが低減し、システムメンテナンス負荷の軽減が図られただけでなく、拠点からの分散入力や給与支給実績の自動仕訳の実現により、伝票入力業務において30%の業務効率の改善が実現されました。また、給与明細がWebで閲覧可能になり、明細書配布業務も軽減されています。

多様な事業を展開する同社では、様々な切り口での経営情報をより早く把握することが求められています。新システムでは、収集した会計情報は、多彩な会計セグメント別に把握・分析が可能となり、経営情報の報告スピードの向上が実現されました。

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