お役立ちコラム

健康経営のPDCAサイクル~データの活用と社員の参加を促すアプローチとは~

健康経営のPDCAサイクル~データの活用と社員の参加を促すアプローチとは~

※本ブログは、2025年7月28日に旧ブログ(note:SCSK健康経営)にて掲載したものを、内容はそのままに当サイトへ移設・再掲載しております。ご参考までに、掲載内容は、当時の情報となりますことをご了承ください。

はじめに

健康経営を継続的に改善・発展させていくためには、PDCAサイクル(計画・実行・評価・改善)を確実に回していくことが重要です。
今回のブログでは、PDCAを回していく際のいくつかの視点について、当社の事例も交えながらお伝えしていきます。このブログを通して、その本質はごくシンプルなものであることをご理解いただければ幸いです。

健康経営におけるPDCAサイクルの基本

第6回のブログでもお伝えしたように、健康経営におけるPDCAサイクルでは、目標を数値化し、現状と課題を把握した上で、施策を実行し効果を測定・分析し、継続的に改善していくことが重要です。
特に大切なポイントは、身体の健康、心の健康、組織の健康という3つの側面から総合的に取り組むことです。中でも、組織の健康、つまり職場環境は社員の心身の健康に大きく影響を与えるため、健康経営の中でも最も重要な要素の一つとして捉え、改善に取り組むことをお薦めします。
当社のPDCAサイクルにおいては、まず健診データやストレスチェック、従業員の健康に関する主観データを取得するためのアンケートを行い、現状を把握した上で、健康経営の施策を計画します(Plan)。次に、これらの施策を実行(Do)しながら、継続的にデータを取得して効果を分析(Check)し、計画を修正しながら、インセンティブ制度や経営メッセージで行動変容を促進(Act)しています。
ここでは「健康わくわくマイレージ」の取り組みを例に、当社のPDCAの実践について紹介していきます。

PDCAにおける重要ポイント

当社の健康経営におけるPDCAのポイントは以下の4点です。

ポイント1:データの共有とコミュニケーション

PDCAサイクルを効果的に回すには、社内への情報共有が極めて重要です。当社では健康経営施策の実施状況をラインマネージャーに送付し、管理職がチームコミュニケーションのツールとしてこの情報を活用することを奨励しています。第3回のブログでお伝えしたように、「健康経営の理念」が就業規則に明記されていることが、管理職がチームメンバーの健康経営施策への参加を促すための基盤となっています。

ポイント2:寄り添うアプローチの重要性

PDCAサイクルにおける、実施結果をもとにしたチームコミュニケーションにおいて、管理職とチームメンバー、また、健康経営施策の計画・実施担当部署と社内各部署の管理職との間で、「困っていることがあればサポートします」という、ともに解決する姿勢を共有することが効果的です。
健康経営施策の成果を出せていない部署や社員は、往々にして業務上の、又は個人的な課題や問題を抱えていることが多いものです。健康経営施策を切り口に、部署や社員が置かれている状況を確認し、解決策を検討することで、健康経営施策のみならず業務全体の課題も解消され、両方の側面で成果を出すことにつながります。

ポイント3:シンプルな仕組み

2015年より開始した「健康わくわくマイレージ」は、社員の健康行動や良好な健診結果にポイントが付与され、インセンティブが支給される仕組みです。初年度以降、全社員の99%が参加し、2016年には「第5回 健康寿命をのばそう!アワード」において厚生労働大臣最優秀賞を受賞することができました。
実は、2018年度において「健康わくわくマイレージ」の個人インセンティブ達成者が大幅に減少してしまいました。そこで原因分析を行った結果、制度の複雑化により「目標設定が分からない」「面倒」「後回ししたら、月次ポイントが得られなかった」という声が増加していたのです。
この課題に対し、私たちは次年度より目標のシンプル化を図り、制度を「定着」させることを最優先にしたのでした。

ポイント4:経営層のコミットメント

ここは、繰り返しこのブログの中でご紹介してきましたが、経営層のコミットメントは、施策の浸透度を高めることにおいて、大変重要な意味を持ちます。
特に健康を切り口にした場合、「健康は個人の問題」となりやすいですが、企業として真摯に向き合う姿勢を前面に出すためには、当然ながら経営トップの協力が必要です。
当社の場合、毎週実施される役員会にて、ことあるごとに「働き方改革」「健康経営」「人材戦略」について、経営トップ自らが語っていました。ある年では、開催された42回の役員会のうち、9割を超える頻度で繰り返し人事施策に関する必要性を説いていたのです。※翌週までには、社内のイントラネットに全文が掲載されて、閲覧数も常にトップクラスでした。
この取り組みは、役職員全員に対して経営者の想いを伝える場となり、読み手にとって「経営は本気なんだ」との認識が伝播した好事例だと言えます。

まとめ

健康経営のPDCAサイクルを効果的に回すためには、データに基づく透明な情報共有、困っている部署や社員に寄り添ってともに解決を検討するアプローチ、シンプルな仕組み、経営層のコミットメントを連携することが重要です。
健康経営は短期間で劇的な成果が出るものではありませんが、継続的な改善と組織全体の取り組みによって、社員の健康と企業の成長を両立させることができます。次回は、これまでお伝えしてきたことを包括する形で、健康経営の総合的なフレームワークについてご紹介します。
次回は、8/18(月)に更新予定となります。

※「健康経営®」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。

今日の健康経営あるある

よく健康経営担当者の方々と会話をした際、「何度繰り返し訴えても変わらない。元にもどってしまう」との声をお聞きします。
「残業削減運動を実施し、一定の成果をもってキャンペーンを終了すると、翌月から元の残業時間にもどってしまう」ことなど、その最たる例だと言えます。

当社では、その事象を経営トップは「弾性変形」「塑性変形」を使い説明をしていました。

  • 弾性変形:力を加えると変形し、その力を取り除くと元の形にもどる性質
  • 塑性変形:力を加えると変形し、その力を取り除いても元の形にもどらない性質

これは、金属工学などで使われる考えですが、組織変革においても当てはまるのです。何度も何度も必要性を訴え、切り口を変えながらも伝え続ける。少しずつですがその想いが伝播し、腹落ちすることで、行動変容へとつながっていくのです。この積み重ねが、元にもどらない「塑性変形」となるのです。
成果が出るまでに、一定の時間を要するのは、このプロセスが必要だからなのです。

SCSK株式会社 PROACTIVE事業本部 Uwellビジネス部 部長(兼)人事本部 Well-Being推進部

杉岡孝祐

住商情報システム株式会社(現SCSK株式会社)入社。 人事(採用、育成、人事企画)11年、広報(社内外情報発信、メディア対応など)10年経験。 広報部時代の2011年に経営統合(現在のSCSKに)を経験し、その後の「働き方改革」「健康経営」を広報の責任者として、社内外へ発信。各種メディア対応を通じ、社内外へのPRを実現。 2019年4月より人事に異動し、健康経営の企画・推進責任者。 2023年4月、健康経営の新規事業化を目的に異動。(人事兼務)

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