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経理BPOとは?
メリットや導入の進め方を分かりやすく解説!

経理BPOとは?メリットや導入の進め方を分かりやすく解説!

自社の業務プロセスを外部の専門企業に継続的に委託するBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)が注目されています。中でも、経理財務の分野に適用した経理財務BPOサービスは、今後順調に需要が伸びていく分野だとされています。この記事では、経理財務BPOサービスの基礎から、導入メリットおよび導入ステップなどについて解説します。

1. BPOサービスとは

BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の概要について、種類や市場規模も含め、以下にて解説します。

(1)BPOサービスの概要

BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)とは、経理や人事、総務といったバックオフィス業務や、自社には運用ノウハウがない業務を、専門性をもつ外部の企業に、まとまった単位で継続的に委託することです。専門性の高い業務を担う人財を社内で育成するには時間とコストがかかります。そこで、BPOサービスを提供している事業者に業務を委託することで、育成のための時間やコストを節減することができます。
また、BPOを活用することで、従業員を戦略的業務に集中させることが可能になり、企業としての体質強化、競争力強化を実現することが出来ます。コロナ禍においても尚、組織変革のための1つのソリューションとして年々注目度が高まっています。

(2)BPOサービスの種類と市場規模

BPOサービスには、システム運用などの業務委託を請け負うIT系と、財務/経理・人事・調達/購買・カスタマーサポート・営業などの非IT系の分野があります。

BPOサービスの市場規模は拡大傾向にあり、矢野経済研究所によると2021年度のBPOサービス全体の市場規模は、事業者売上高ベースで前年度比2.3%増の4兆5,314億9,000万円となっています。またその内訳をみると、IT系BPO市場規模が同2.0%増の2兆6,669億円、非IT系BPO市場規模が同2.6%増の1兆8,645億9,000万円と、引き続きプラス成長が予測されています。

BPOサービス市場は、コロナ禍によって一時需要が減退する傾向がありましたが、テレワークの普及などの影響で人財の再配置を行う企業が増え、再び需要が高まっています。

図:国内BPO市場規模推移・予測
出典:㈱矢野経済研究所「BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)市場に関する調査を実施(2021年)」
2021年11月9日発表

2. 経理財務BPOサービスとは

経理財務BPOサービスは、より高度な経理・財務のスキルを身に付けたスタッフによって、決算(月次・四半期・年次)・連結決算・債権管理・債務管理・経費・固定資産管理などの業務を代行します。

経理財務業務は、各種法律や税制が密接に関わってくるとともに法改正も頻繁に行われ、これらに対して確実に対応する必要があります。また、企業の最新の状況を把握して、ビジネス環境の変化や事業再編などにも俊敏に対応するため、柔軟な業務対応や決算のスピードアップが求められています。これらを実現するためにも、信頼できるBPOサービス事業者に業務を委託することは、有効な選択肢と言えるでしょう。

3. BPOと「人材派遣」「経理代行」の違い

「経理業務を外部に任せたい」と考えた際、BPOの他にも「人材派遣」や一般的な「経理代行(アウトソーシング)」など、似たような選択肢があり迷われる方も多いのではないでしょうか。

これらは一見似ていますが、「誰が業務を管理するか(指揮命令系統)」や「業務改善(プロセス改革)の有無」に大きな違いがあります。それぞれの違いを理解することで、自社の課題に最適なサービスを選ぶことができます。

まずは、主要な違いを整理した比較表をご覧ください。

比較項目 BPO 一般的な経理代行 人材派遣
目的 業務プロセスの改革・効率化 定型業務の処理代行 欠員補充・労働力の確保
指揮命令 BPO事業者が管理 代行会社が管理 依頼企業(自社)が指示
業務範囲 企画・設計~運用まで一括 指定されたタスクのみ 指示した業務のみ
業務改善 あり(継続的に提案・実施) なし(現状維持が基本) なし(スタッフによる)
コスト 変動費化しやすい 従量課金または固定 時間単価(人件費)

(1)アウトソーシング(単なる代行)とBPOの違い

広義にはBPOもアウトソーシングの一種ですが、ビジネスの現場では明確に区別されます。

一般的な「経理代行(アウトソーシング)」は、記帳や給与計算といった「決まった作業」を外部へ渡すことを指します。「今のやり方」をそのまま外部が出力するため、業務の手順自体は変わりません。

一方で「BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)」は、業務プロセスそのものを外部へ委託します。単に作業を代行するだけでなく、「今の業務フローに無駄はないか?」「システムを入れて自動化できないか?」といった企画・設計段階から介入し、業務効率化や品質向上を目指す点が最大の特徴です。

現状のやり方を維持したい場合は「経理代行」、業務全体を見直してスリム化したい場合は「BPO」が適しています。

(2)人材派遣とBPOの違い

「人材派遣」とBPOの決定的な違いは、「誰がスタッフに指示を出すか(指揮命令権)」と「成果の責任」です。

人材派遣:
派遣スタッフは貴社に出社(またはリモート)し、貴社の担当者が直接指示を出して業務を行います。あくまで「人の手」を借りる契約であるため、スタッフの管理や教育、業務マニュアルの作成は自社で行う必要があります。また、派遣スタッフが退職すれば、再び採用・教育コストが発生します。

経理BPO:
業務の遂行責任はBPO事業者が持ちます。そのため、作業をするスタッフへの指示出しや進捗管理、教育はすべてBPO事業者のマネージャーが行います。自社で管理の手間がかからず、スタッフの入れ替わりがあってもBPO事業者内で引き継ぎが行われるため、業務が滞るリスクがありません。

(3)シェアードサービスとの違い

「シェアードサービス」とは、グループ企業内のコーポレート機能(経理・人事など)を1箇所に集約し、別会社化または一部門として独立させる手法です。

BPOと同様に業務の標準化やコスト削減を目的としますが、シェアードサービスはあくまで「グループ内部(身内)」での集約である点が異なります。

これに対しBPOは、資本関係のない「外部の専門企業」を活用します。外部のノウハウや最新のITツールを導入しやすい点や、固定費を変動費化しやすい点においては、シェアードサービスよりもBPOに分があるケースも多く見られます。

4. なぜ今、経理BPOが注目されるのか?

近年、大企業だけでなく中堅・中小企業でも経理BPOの導入が進んでいます。その背景には、単なるコスト削減以上に、経理部門を取り巻く環境の急激な変化が影響しています。

(1)インボイス制度・電帳法対応による業務負担増

2023年のインボイス制度開始や、電子帳簿保存法(電帳法)の改正により、経理の実務負担は激増しました。

  • ・請求書の適格事業者番号の確認
  • ・適格請求書とそれ以外の仕訳の区分
  • ・電子取引データの要件に沿った保存・管理

これらの法対応を、既存の人員だけで処理しようとすると、残業時間の増加やチェックミスの多発につながります。BPOを活用することで、こうした煩雑な法対応業務をプロに任せ、社内リソースを守る動きが加速しています。BPO事業者は法改正の情報を常にキャッチアップしているため、自社でゼロから対応方針を検討するコストも削減できます。

(2)経理DX・システム刷新への対応ニーズ

「紙の請求書をなくしたい」「古い会計システムをクラウド化したい」といった経理DX(デジタルトランスフォーメーション)の必要性が高まっています。しかし、システム導入には専門知識が必要であり、通常業務を行いながらのシステム移行は現場にとって大きな負担です。

多くの経理BPOサービスでは、業務を請け負う際に最適なITツールやシステムの導入・運用もセットで提案します。
「BPO導入=業務フローのデジタル化」となるケースが多く、自社だけでDXを進めるよりもスムーズかつ確実にペーパーレス化や効率化を実現できるため、DXの手段としてBPOが選ばれています。

(3)専門人材の不足と属人化リスク

少子高齢化に伴い、経理実務の経験者や簿記資格を持つ人材の採用難易度は年々上がっています。
苦労して採用した担当者が急に退職してしまい、「その人しかやり方を知らない(属人化)」業務がブラックボックス化して現場が混乱する事例は後を絶ちません。

BPOを導入すれば、業務はチーム体制で運用され、マニュアルなどのナレッジもBPO事業者側に蓄積・担保されます。「特定の誰かがいないと回らない」という属人化リスクを解消し、安定した経理体制を維持するために、外部リソースを活用する企業が増えているのです。

5. 経理BPOで委託できる具体的な業務範囲

経理BPOサービスでは、日々の定型業務から専門知識を要する決算業務まで、企業のニーズに応じて幅広い業務を委託することが可能です。以下に代表的な業務例を示します。

業務分類 具体的な業務内容
日常的な経理業務 伝票の起票・仕訳入力、経費精算のチェック・承認、請求書の発行・発送、売掛金の入金消込、買掛金の支払データ作成
月次・年次決算業務 月次試算表の作成、勘定科目の残高照合、固定資産管理、決算整理仕訳、貸借対照表・損益計算書などの決算書類作成支援
その他専門的な業務 資金繰り表の作成支援、年末調整関連業務、税務申告の基礎資料作成

(1)日常的な経理業務

日々の繰り返し発生する業務は、BPOに適した領域です。伝票入力や経費精算、請求書発行といった業務は、量が多いために社内リソースを圧迫しがちです。これらの定型業務を外部委託することで、社内の経理担当者はより付加価値の高い業務に時間を割けるようになります。

(2)月次・年次決算業務

決算業務は専門知識が求められ、特定の時期に業務が集中するため、経理部門の大きな負担となります。BPOを活用することで、専門家の支援を受けながら迅速かつ正確な決算処理が可能となり、決算の早期化にも繋がります。

(3)その他専門的な業務

上記以外にも、企業の財務状況を把握するために重要な資金繰り管理や、年に一度の年末調整業務など、専門性が高く手間のかかる業務も委託対象となります。BPOサービス提供者は法改正などの最新情報にも精通しているため、常に適切な業務遂行が期待できます。

6. 経理BPOを導入する4つのメリット

経理BPOを導入することで、企業は様々なメリットを享受できます。ここでは、代表的な4つのメリットを解説します。

(1)コスト削減とリソースの最適化

経理担当者を直接雇用する場合、給与や社会保険料といった人件費だけでなく、採用や教育にもコストがかかります。BPOを活用すれば、これらのコストを変動費化し、業務量に応じて最適化することが可能です。繁忙期に合わせて人員を増やす必要がなくなり、トータルでのコスト削減が期待できます。

(2)専門知識の活用と業務品質の向上

BPOサービスを提供する企業は、経理・財務分野の専門家集団です。最新の会計基準や税法に精通したプロフェッショナルに業務を任せることで、業務の正確性が向上し、品質の高い経理体制を構築できます。法改正への対応も迅速に行われるため、コンプライアンス強化にも繋がります。

(3)業務の属人化解消と不正防止

特定の担当者しか業務の進め方を知らない「属人化」は、多くの企業で課題となっています。BPOを導入する過程で業務プロセスが可視化・標準化されるため、業務のブラックボックス化を防ぎます。また、外部の第三者が業務をチェックする体制が構築されることで、不正行為の抑止力としても機能します。

(4)コア業務への集中による企業価値向上

伝票入力や精算業務といったノンコア業務をBPOに任せることで、社内の経理担当者は財務分析や経営戦略の立案、資金繰りの最適化といった、より付加価値の高いコア業務に集中できるようになります。これにより、経理部門が単なる事務処理部署から、経営を支える戦略的な部門へと変革することを後押しします。

【関連コラム】BPOを活用して、人財をコア業務へ集中。変化に強い企業になる

7. 経理BPO導入前に知るべきデメリット

多くのメリットがある一方で、経理BPOの導入には注意すべき点も存在します。事前にデメリットを理解し、対策を講じることが重要です。

(1)社内にノウハウが蓄積しにくい

業務プロセス全体を外部に委託するため、経理実務に関するノウハウが社内に蓄積されにくいという側面があります。将来的に内製化を考えている場合や、若手人材の育成を重視する場合には課題となる可能性があります。BPO事業者から定期的に業務報告を受けたり、業務マニュアルを共有してもらったりするなど、ノウハウを共有する仕組みを構築することが対策となります。

(2)情報漏洩のリスク管理が必要

経理業務では、売上や利益、取引先情報といった企業の重要な機密情報を扱います。そのため、BPOサービスを選定する際には、委託先のセキュリティ体制を厳しくチェックする必要があります。プライバシーマークやISMS認証の取得状況を確認し、契約時には守秘義務契約を締結するなど、情報漏洩リスクに対する万全の対策が求められます。

(3)業務プロセスの可視化と整理が不可欠

BPOの導入効果を最大化するためには、委託する業務の範囲や手順を明確にする必要があります。社内の業務フローが整理されていない状態で丸投げしてしまうと、かえって非効率になったり、期待した成果が得られなかったりする可能性があります。導入前に自社の課題を洗い出し、業務プロセスを整理しておくことが成功の鍵となります。

8. 失敗しない経理BPOサービスの選び方

自社に最適なBPOサービスを選定するためには、いくつかの重要なポイントを確認する必要があります。

(1)対応可能な業務範囲を確認する

BPO事業者によって、得意とする業務領域やサービスの提供範囲は異なります。自社が委託したいと考えている業務(例えば、日常業務だけでなく決算業務や連結会計まで)に対応しているか、事前にしっかりと確認しましょう。将来的な事業拡大を見据え、柔軟に業務範囲を拡張できるかどうかも重要なポイントです。

(2)セキュリティ体制の信頼性を評価する

前述の通り、セキュリティはBPOサービス選定における最重要項目の一つです。ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)認証やプライバシーマークの取得は、客観的な評価基準となります。また、データの管理方法やアクセス制限、従業員への教育体制など、具体的なセキュリティ対策について詳細な説明を求め、信頼できる事業者を選定することが不可欠です。

(3)導入実績と自社との相性を確認する

自社と同じ業界や企業規模の導入実績が豊富にあるかを確認しましょう。類似の課題を解決した実績があれば、スムーズな導入と高い効果が期待できます。また、打ち合わせの際の担当者の対応やコミュニケーションの取りやすさなど、長期的なパートナーとして信頼できるかという「相性」も見極めることが大切です。

(4)料金体系の妥当性を判断する

料金だけで判断するのは避けるべきですが、費用対効果は重要な検討項目です。複数の事業者から見積もりを取り、サービス内容と料金のバランスを比較検討しましょう。基本料金に含まれるサービス範囲や、追加料金が発生するケースなどを事前に明確にしておくことで、後々のトラブルを防ぐことができます。

9. 経理BPO導入までの基本的なステップ

経理BPOの導入は、計画的に進めることが成功に繋がります。一般的な導入ステップは以下の通りです。

(1)導入目的と課題を明確にする

最初に、「なぜBPOを導入するのか」という目的を明確にします。「コストを20%削減したい」「月末の残業時間をゼロにしたい」など、具体的な目標を設定することで、その後のプロセスがスムーズになります。現状の業務フローを洗い出し、課題を整理することも重要です。

(2)委託する業務範囲を具体的に決定する

目的と課題が明確になったら、どの業務をどこまで委託するのかを具体的に決定します。社内に残すべきコア業務と、外部に委託するノンコア業務を切り分けることがポイントです。この段階で業務範囲を詳細に決めておくことで、BPO事業者との認識のズレを防ぎます。

(3)複数のBPOサービスを比較検討する

決定した業務範囲を基に、複数のBPO事業者へ提案を依頼し、見積もりを取得します。前述した「選び方のポイント」を参考に、サービス内容、実績、セキュリティ、費用などを総合的に比較し、最適なパートナー候補を絞り込みます。

(4)契約を締結し円滑な引き継ぎを行う

委託先を決定したら、業務範囲や責任の所在、費用、契約期間などを明記した契約を締結します。契約後は、現在の業務内容や手順をBPO事業者へ正確に引き継ぎます。スムーズな立ち上がりのためには、社内の協力体制を整え、BPO事業者と密に連携することが不可欠です。

10. 経理財務BPOとシステム運用

経理財務BPOサービスでは、特にシステム運用の巧拙が導入の成否を決める割合が高くなります。具体的には、システムをうまく活用することで、ミスを極力低減させ、手作業の量を減らすことにつながり業務効率がアップします。
これまで利用していたシステムを刷新して、業務プロセス自体を変更することで大幅な効率化が実現できるケースも少なくありません。優れたプラットフォームを持つシステムを利用することで、業務委託をする側も業務の見える化が可能になります。

11. まとめ

経理財務BPOは、社内のインフラ業務の外部化です。また社員の雇用にも関わってくることもあり、慎重に進めなければなりません。経験のある、信用出来る業務運用ベンダーとシステム運用ベンダーの選定、これが重要です。短期的なコスト削減だけを目指すのではなく、長期的な視点でパートナーを選ぶことをおすすめします。うまく活用して、間接部門の効率化、体質強化を実現させてください。

株式会社ビジネスブレイン太田昭和 BPO統括本部グローバルシェアードサービス事業部 理事 事業部長

久茂田善晃

事業会社の経理部、外資系コンサルティングファームを経て、2013年ビジネスブレイン太田昭和に入社。上場会社・大企業向けの決算BPOや、人事総務含めたバックオフィス全体のBPOの導入等、実績多数。熊本BPOセンターの立ち上げにも尽力した。 BBSでは『経営会計』に関する「コンサルティング」、「システムインテグレーション」、「BPO」を提供し、この3つのサービスの軸を「BBSサイクル」と定めています。お客様の戦略、計画策定から運用、定着までのさまざまなステージにおいて、「BBSサイクル」は効果的・継続的なご支援を可能にします。 私たちは会計領域を超えた経営会計の専門家として、お客様を支える『総合バックオフィスサポーター』です。

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