お役立ちコラム

全館禁煙達成の道筋/若手社員の喫煙率
~気になる2つの現場事例から考察する禁煙推進のヒント~

全館禁煙達成の道筋/若手社員の喫煙率~気になる2つの現場事例から考察する禁煙推進のヒント~

※本ブログは、2026年3月25日に旧ブログ(note:SCSK健康経営)にて掲載したものを、内容はそのままに当サイトへ移設・再掲載しております。ご参考までに、掲載内容は、当時の情報となりますことをご了承ください。

はじめに

今回は「禁煙(卒煙)」をテーマに、企業現場で実際にあった2つの課題―全館禁煙のつまづきポイントはどこなのか/なぜ若手社員の喫煙率が上がるのか―それぞれ異なる現場のリアルをご紹介します。どちらも担当者の具体的な悩みと工夫、現場ならではのヒントとして参考にしていただければ幸いです。

禁煙成功のためのインセンティブ活用

第3回のブログにおいて、禁煙(卒煙)には5万円の福利厚生ポイントを付与し、ご家族で旅行や食事に利用してもらえるよう、家族への手紙を通じた協力の依頼など、各種の対応を行い、300名以上の禁煙成功者を認定しました。
これらの取り組みにおいて、「その後たばこを吸ってしまった場合はどうするのですか?」との質問を良く受けます。回答としては「致し方ない(インセンティブの回収はできない)」です。ただ、企業として単にあきらめるのではなく、SCSKの場合は、健康増進施策である「健康わくわくマイレージ」において、年間目標に「喫煙習慣なし」とのチェック項目を設定し、繰り返し確認する機会(目にする機会)を設定しています。また、年1回の健康に関するアンケートを通じて、全社員の喫煙率をカウントしています。全館禁煙にするとともに、就業規則において就業時間内における「喫煙」を不可とし、さらには懇親会における受動喫煙も禁止とする取り組みを実施しています。

全館禁煙を成功に導く、たった一つの取り組み

現在、多くの企業で全館禁煙に取り組むケースをお聞きします。特に製造業や陸運業の会社のご担当者と意見交換する機会が多く、その中でも複数社において、この数年で全館禁煙を導入した、とお聞きしています。当社も経験したことですが、事前告知→喫煙所の撤去→禁煙サポート→禁煙成功者へのインセンティブなど、多種多様なサポートを通じて、実現をされた、とのことでした。その際、私から皆さんに対して共通して「近隣住民の方や社内からの情報提供(報告)には真摯に向き合い、対応をしてください」とアドバイスをしています。

このアドバイスの意図としては、何らかの情報提供があった場合、必ず行動をしてもらいたいのです。具体的には、社内掲示(イントラネット、掲示板)にて、近隣から報告があったこと/全館禁煙を導入しており、その結果として近隣の公園や公共の喫煙所に就業時間内の利用は禁止であること。これらを遵守する旨告知することです。

年に一度出せばいいや、ではなく、そのような報告があった際に、都度必ず発信をしてください。この繰り返しの掲示が、「会社は見ているよ」「ルールは守ってね」と周囲の目があることをお伝えし、自己統制が働く効果が期待できるのです。一方で、一度の掲示で「まあ、1回伝えたから、何度も繰り返さなくてもいいか…」とした場合、社員の皆さんは、「あ、会社は特に言わないんだ」「そこまで気にしていないんだ」「カタチだけの制度なんだ」と都合の良い解釈に代わってしまう可能性が高まってしまうのです。
この違いが、効果に大きくかかわってくることをぜひご理解ください。

“たばこ場”から見えてきた、現場のリアル

厚生労働省の発表において、年代が若いほど喫煙率は低い傾向になっています。

※厚生労働省 令和5年 国民健康・栄養調査結果の概要

これは、そもそもの嗜好品が多岐にわたり、選択肢の一つとしてたばこの必要性が落ちていることや健康志向の表れが伺えます。
一方で、2025年度の「健康サーベイ」を実施していただいた約4万人のデータを見た際、いくつかの会社で20代の喫煙率が高い結果がありました。この数値は、世の中の傾向と逆行しています。

この背景をその他の設問や各社の人事担当者の皆さんと議論をしていて得た仮説として、以下の2つが浮き彫りになってきました。

  • ・たばこ場でのコミュニケーション(技術伝承)
  • ・飲み会でのコミュニケーション(技術伝承)

つまり、上司や先輩社員からの仕事を通じた指導の他に、「ティーチングエリア(=現場で技術や社内の暗黙知を伝える“非公式な学び場”)」があることが伺えます。
では、たばこに効果があると言えるのか?に対しては、Noとの回答になります。
これらの技術伝承を理由に、たばこ場の撤去ができない企業があるとすれば、「技術伝承はたばこがないとできないのですか?」との投げかけになります。
ぜひ、技術を伝える場や機会、きっかけを会社として考え直していただきたいのです。なぜなら、たばこを吸う人と吸わない人で情報格差が出てしまうことは、個々人の成長に関する機会損失と言わざるを得ないからです。
皆さんの会社において、この傾向ありませんか?

まとめ

今回、喫煙について2回にわたり取り上げてきました。当社も未だ喫煙率が10%を切るには至らず、道半ばです。ただ、全館禁煙の実施や、少しずつ吸わない環境を整えることで、たばこをやめるきっかけを提供できていることは、大きな前進だと感じています。
たばこ問題ひとつをとっても、企業の姿勢が職場環境や組織の健康度の向上につながると実感します。一方で、企業がどこまで個々人の嗜好に踏み込めるのかという懸念があるのも事実ですが、安全配慮や、より良い職場環境の実現に向けて、これからも最適なバランスを模索していく必要があると考えます。
現場ごとに事情も進め方も異なりますが、健康経営の本質は、「働く一人ひとりが腹落ちし、前向きに変化を実感できる環境づくり」にあるのではないでしょうか。今後も、現場から生まれるリアルな声や工夫を取り上げていきますので、ぜひ引き続きご覧ください。

※「健康経営®」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。

今日の健康経営あるある

喫煙テーマに興味関心をもっていただき、ありがとうございます。
これまた良く聞くお悩みとして、「役員ほど喫煙者が多いんです・・・」
当社の場合、「経営層の健康は、経営リスクになり得る」との考えのもと、従業員向けの「健康わくわくマイレージ」あらため役員版「健康どきどきマイレージ」を導入しました。
これは、日々の歩数・睡眠・食事・アルコールの記録および喫煙の有無は、従業員向けと同じですが、インセンティブ設計を見直したのです。実践しなければ、マイナスのインセンティブとなる仕組みです。
これは、相応に効果がありました。ポイント設計にも工夫を凝らし、本人の行動とともに組織長としての組織への影響度(率先垂範としての模範行動)を加味した設計としたのです。
経営トップとしての宣言を始め、分かり易いメッセージや数値化、さらにはインセンティブを活用した支援・後押しの工夫。SCSKではこれらを組み合わせて、ストーリーをもって伝える取り組みを推し進めています。

SCSK株式会社 PROACTIVE事業本部 Uwellビジネス部 部長(兼)人事本部 Well-Being推進部

杉岡孝祐

住商情報システム株式会社(現SCSK株式会社)入社。 人事(採用、育成、人事企画)11年、広報(社内外情報発信、メディア対応など)10年経験。 広報部時代の2011年に経営統合(現在のSCSKに)を経験し、その後の「働き方改革」「健康経営」を広報の責任者として、社内外へ発信。各種メディア対応を通じ、社内外へのPRを実現。 2019年4月より人事に異動し、健康経営の企画・推進責任者。 2023年4月、健康経営の新規事業化を目的に異動。(人事兼務)

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