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コラム

2020.06.30 ♦トピックス♦

コンサルタントコラム⑤
業務変革への道を閉ざす壁の正体

顧客中心主義が業務変革を生む

在宅勤務の機会が多くなった最近、近所のファーストフード店を利用することがあった。スマートフォンのアプリを使ってみると、商品を注文するだけでなく、クレジットカードで決済も済ますことができた。店頭では並んで待つ必要もなく、商品を受け取るだけ。スマートフォンアプリはオペレーションミスを削減しつつ、お客様のストレスとなる店頭での待ち時間を削減している。このような例は、「業務改善」よりもインパクトの強い「業務変革」であると定義したい。

もし、「レジ現金の不一致を無くす方法は?」という一つの検討テーマだけを取り上げたとしたら、アプリを使った新業務フローを思いつくのは難しいだろう。さらに、「店頭での注文から受け渡しまで」が記載された業務フロー図を事前に渡されていたとしたら、アプリを使う案を思いついたとしても、打ち合わせの場で浮いてしまうのを恐れて言い出しづらい。業務フロー図が目の前にある状況では、「レジ現金不一致解消のための『自動釣銭機』の導入」というのが空気を読んだ改善策として提示されがちではないだろうか。

業務変革には、業務フロー図を頼りにする姿勢ではなく、顧客体験を重視する姿勢の方が大事になる。

「業務時間の余白」が業務変革を生む

話を法人営業の場面に移したい。

法人営業の業務フロー図の多くには、見積書作成というプロセスが載っている。このプロセスに起因するトラブル例に、「不確かな条件で見積書を作り、契約段階や納品段階で顧客や生産部門との認識違いが発覚し、営業は火消しのために走り回る」というものがある。

顧客体験の質も向上する「業務変革」の解決策としては、データベース化した見積もり内容をもとにしてプロダクトやサービスを標準化することが考えられる。標準化されたプロダクトやサービスがあれば、その仕様を見積もり条件としてタイムリーに顧客に提示することができるので、顧客満足度も向上することが期待できる。さらに、標準化によって、「業務時間の余白」が生まれ、新しい仕事にチャレンジすることができるようになる。標準化はハードルが高いと思うならば、「できる範囲からのルール化」と考えてみてはどうだろう。顧客とのやり取りもそうだし、社内でのやり取りも対象だ。

私が法人営業の管理を任されていた頃、提案書や見積書のデータは各営業担当のPCなどに散在していた。時代の要請で監査を受けることになり、毎年の書類集めが大変になったので、格納場所を統一することにした。各営業部員の反発を抑える狙いで、「指定した格納場所に書類を格納してくれれば社内用稟議書や契約書の作成を事務担当が代行する」という仕組みを用意したところ、営業担当に喜んでもらえたし、私の監査対応も楽になった。顧客満足度の向上に直接繋がらないので、先ほどの定義に従うとこの取り組みは「業務改善」になるのだが、この取り組みによって「業務時間の余白」が生まれ、営業担当は顧客のために動けるようになったのは言うまでもない。

業務変革を生み出すために

BPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)の際、業務フロー図を作成しながら現行業務を調査することは多い。だが、業務フロー図に載っている情報がアイデアの幅を狭めてしまう「業務変革への道を閉ざす壁」になることもある。業務変革に挑むのであれば、現行の業務フロー図を作成するのはほどほどにして、「新しいテクノロジーを駆使することで、顧客体験の質を向上できないか?」を議論することに時間を費やしてはどうだろうか。

そして、データやノウハウが散在している業務があるなら、情報のデータベース化に着手するべきだ。情報の格納場所を統一できれば、そこを業務の受け渡し場所にして、次の「業務改善」や「業務変革」に進むこともできる。法定帳簿に至っては、e-文書法(電子帳簿保存法)に則したデジタル化を進めることで、管理部門も「業務時間の余白」を生み出すことができるはずだ。

変化する市場やニーズに適応するための業務変革の能力がこれからますます重要になる。「業務変革」という新しい仕事に挑戦するための「業務時間の余白」を生み出すために、「業務改善」という地道な仕事をおろそかにしてはならない。

EYアドバイザリー・アンド・コンサルティング株式会社
マネージャー
小山善隆

日本証券アナリスト協会 検定会員(CMA)、公認情報システム監査人(CISA)、経済産業省認定 ITストラテジスト。証券会社、シンクタンクを経て、EYアドバイザリー・アンド・コンサルティングに2015年入社。事業戦略立案、財務データ分析、IT導入を専門に活動。基幹システム刷新や業務変革といった組織を横断する課題に対し、政府系機関や金融機関にも助言している。

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