組織を強くするクラウドERP <ProActive>
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コラム

2020.05.08 ♦クラウドERP♦

コンサルタントコラム②
クラウドERPに業務を合わせて導入するコツ

パッケージを業務に合わせていた時代

クラウドERP導入について語るにあたり、企業における情報システム開発の進め方を振り返りたい。

2,000年前後、Microsoft社が販売する開発言語のVisual Basicが企業システムを席巻した。当時主流であったホストコンピュータでは考えられない手軽な開発環境(WindowsPCさえあれば良い!)は、これまで費用対効果が得られず見送られてきた、少人数のユーザーが行う特定業務のシステム化を一気に進めた。

Visual Basicにより開発環境は変わったものの、システム開発の進め方はホストコンピュータの時代と大差はなく、ユーザーが業務を説明し、システムエンジニアがそれをプログラムに落とし込むというものであった。この時に導入された業務パッケージの多くも同じ進め方で行われた結果、カスタマイズ機能(標準機能の改変)やアドオン機能(標準機能外の独自機能)が大量に作られた。

クラウドERPに業務を合わせるには?

現在、機能の充実したクラウドERPが数多く提供されている。会計、経費精算、人事給与、勤怠管理といった分野は、特に充実している。業務をクラウドERPに合わせて導入する際は、ERPパッケージベンダーや導入ベンダーに業務対象範囲を伝えて提案してもらったり、フィットアンドギャップ(製品機能が自社業務に適合しているかを調べること)をしてもらったりするのが一般的だ。

この際の注意点を4つお伝えしたい。

その1、帳票などのアウトプットから調べること

フィットアンドギャップはアウトプットを重点的に行うことをお勧めしたい。企業システムの使命は、業務ユーザーにアウトプットを提供することである。したがって、候補のクラウドERPが充分な業務帳票や経営向けレポートが用意できるかを最初に見極めるべきだ。もし、業界特有の法定要件を満たさないような懸念があったり、経営判断のための材料を提供できなかったりするようなケースがあれば、有識者に意見を求めるべきである。

カスタマイズ開発の経験が豊富な業務ユーザーやシステム開発者ほど、業務の流れを最初から最後まで話したり聞いたりしてしまう。だがしかし、その現行業務のヒアリングは何のために行うのか、目的を明確にしてから行うべきだ。クラウドERPに業務を合わせる際に最も注意したいのは、慣習的なシステム開発の進め方に囚われないことである。

その2、ベンダーに丸投げしないこと

業務ユーザーが業務を語り、それを聞いたベンダーがフィットアンドギャップ判定をしてしまうと、業務の伝え漏れ、ベンダーの都合の良い解釈による判定といった、トラブルの火種を残すことになる。したがって、業務ユーザー自身もマニュアルを熟読しておくべきだ。そして、トライアル環境等を使って、マニュアルに沿って操作がきちんと行えるかを確認し、不明点があればベンダーに問い合わせをするのが正しい姿だ。

分かりやすいマニュアル、使いやすい画面構成、問い合わせに対して的確な答えをレスポンス良く返答してくれるベンダーを選びたい。

その3、数年先のことを考えて選ぶこと

会計、経費精算、人事給与、勤怠管理といった分野でのクラウドERPの入れ替えは、本来の仕事を停滞させかねないので頻繁には行いたくない。なるべく長く使えるクラウドERPを選んでおきたいものだ。したがって、将来を見越して他の業務機能ラインナップも比較しておきたい。また、各業務機能が、どんな機能やデータ項目を備えているかも押さえておくとよいだろう。さらに、今は使わない機能やデータ項目をエンドユーザーには見せずに隠しておけるとなお良い。

その4、導入目的を関係者で合意すること

限りある経営資源を使って、いかに顧客提供価値を向上できるか、いかに本業で社会に貢献できるか、いかに企業価値を向上できるかを、企業は考えなければならない。「クラウドERPに業務を合わせる」という方針は、これらを達成するための一つの手段である。

経営目標達成に貢献するクラウドERPを選んで業務を合わせたいのか。それとも、経営目標達成に直接的な影響のない業務範囲を選んでクラウドERPに業務を合わせたいのか。 「クラウドERPに業務を合わせる」と言っても、導入目的をどう設定するかは企業によって異なる。ベンダーに声をかけるまえに、この点について関係者で議論を深めておくことをお勧めしたい。

EYアドバイザリー・アンド・コンサルティング株式会社
マネージャー
小山善隆

日本証券アナリスト協会 検定会員(CMA)、公認情報システム監査人(CISA)、経済産業省認定 ITストラテジスト。証券会社、シンクタンクを経て、EYアドバイザリー・アンド・コンサルティングに2015年入社。事業戦略立案、財務データ分析、IT導入を専門に活動。基幹システム刷新や業務変革といった組織を横断する課題に対し、政府系機関や金融機関にも助言している。

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