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2022.02.18
ERPノート

会計システム導入の成否を分けるRFP
ベンダーから適した提案を受けるコツ
~プロジェクトを成功に導くRFP記述のポイントを解説~

ユーザー企業がベンダーに提案を求めるRFP(提案依頼書)。大まかな型はあるものの、具体的な記載内容や表現、ボリュームなどはユーザー企業によって異なります。両者の認識にずれがある場合、スケジュールや予算が計画と大幅に乖離するリスクが高まってしまいます。そこで今回は、どのような内容がRFPに記載されていれば、より精度が高くユーザー企業に適した提案になるのか、ベンダーの立場から紹介します。

1. RFPは重要なコミュニケーションツール
不備は後のトラブルのもとに

RFPは、情報システムを導入しようとするユーザー企業がベンダーに対して、導入の目的、背景、求める品質や納期といった条件を示し、それを満たすシステムの構築方法やコスト、スケジュールなどの提案を依頼する文書です。
自社の要望を正確かつ明瞭に示したRFPを作成すると、ベンダーから適した提案を引き出すことができますが、あいまいな表現が多く情報が不十分なRFPでは、「導入後の目的が達成できない」「見積もりの精度が低く途中でコストが追加になる」「プロジェクト進捗に影響が出る」などの問題の発生につながってしまいます。

図:RFPは重要なコミュニケーションツール不備は後のトラブルのもとに

2. ベンダーが良い提案を考えやすいRFPの書き方 7つのポイント

それでは、どのような点に気をつけてRFPを作成し、提案を求めればよいのでしょうか。今回は会計システムにスポットを当て、実際にRFPを受領して提案を行っている立場であるベンダーの営業担当者にインタビューし、まとめてみました。

① RFPの「3本柱」を示す

「システム導入の目的・背景」「実現方法」「実現したい機能要件」が、RFP作成における3本柱です。

まずは、「システム導入の目的・背景」として、現行システムを変える理由を説明します。新システムの導入で何を解決したいのか希望を伝えることで、その内容に従ってベンダーは、顧客が解決したいことの「実現方法」を考えます。例えばカスタマイズが多く発生するようであればオンプレミス型での提案を前提にすることもありますし、そうでなければSaaS型で導入してシステムに業務を合わせていくという判断をするかもしれません。

特に会計システムについて言えば、ベンダー側にとって「なぜシステムを変更するのか」は特に気になるポイントです。なぜなら数あるシステム領域の中でも、会計システムは製品ごとの機能差が比較的少なく、現行システムのバージョンアップが一番楽な選択肢だからです。それでも刷新したいということは、「コストを削減したい」「トラブルが多くて安定しない」「働き方改革に対応したSaaS型にしたい」など、何らかの意図があるとベンダーは解釈するので、その意図がわかればより最適な提案を行えます。

そして「実現したい機能要件」は、プロジェクトのスケジュールと予算設定に直結します。あいまいな表現では、後々コストが膨らむリスクも高まるため、漏れなく明確に表現することが大切です。「わざわざ言わなくてもわかるだろう」という考えは捨てて書くようにしてください。

② 機能要件には重み付けと意図を明記する

機能要件を列挙するだけでは、それが目的に対して本当に必要なものなのかベンダーは判別が難しいです。そこで、機能要件には「大」「中」「小」といった重み付けとその意図を記載しておくことをおすすめします。ベンダーによっては、重要度が低いような要件を見積もりの中に含めないケースがあるため、しっかりと意図を書いておかないと正確な提案を受けられない可能性もあるでしょう。

③ 機能要件は業務と紐付けて説明する

ただ必須となる機能が書かれている機能要件では、その機能を使って何を実現したいのかベンダーは理解できません。そうすると、その機能以外を用いたより良い実現方法について提案を受ける機会を逃してしまうでしょう。

そこで推奨したいのが、「○○の伝票を入力するため」といった業務内容と紐付けて機能要件をまとめることです。これなら、機能要件を個別に見ると要件を満たさない製品であっても、他の機能・方法を用いたりユーザー側の業務プロセスを変えたりすることで目的が達成できるとベンダーは判断できます。これは、カスタマイズ性が低く、機能側を業務に寄せにくいSaaS型での利用や標準機能に合わせたい場合は、特に重要な考えになります。

④ 余裕のあるスケジュールを立てる

当然のことと思われるかもしれませんが、ベンダーにしっかり熟慮した提案をしてほしい場合はスケジュールに余裕を持つことが重要です。さらに踏み込んだ話をするなら、日本企業の決算期などの都合も考慮した方が良いでしょう。理由は、ベンダー側のスケジュールが立て込んでおり、提案を辞退されてしまう可能性があるためです。たとえば、会計システムの場合、日本では3月の決算時に合わせて4月のリリースを目指すことが多いです。そのためプロジェクト期間を1年に設定し、2年前の12月中に見積もり依頼が集中する傾向にありますが、ベンダー側にとっては、営業や技術の人員が不足しがちな時期になります。このような事情を考慮した上で、ユーザー企業は依頼が集中する時期を避け、1カ月以上余裕をもった回答期間を設定することで、内容を熟慮した提案を受けられるでしょう。

最初から完璧なRFPを作成するのは簡単ではありません。スケジュールに余裕を持たせれば、書面だけではなく、ベンダーと直接コミュニケーションを重ねて意図を正しく伝えられるメリットもあります。

⑤ 求める「クラウド」の意味を明確に示す

クラウドファーストの流れから、クラウドに関心を示す企業も増えていますが、その捉え方がベンダー側と異なる場合があります。アプリケーションが自動的に更新されるSaaSを利用したいのか、それともIaaSのようにインフラ部分のみをクラウドにして、アプリケーションの運用は独自に行いたいのか、あるいは両者で迷っているのか示しておくと良いでしょう。仮に「クラウド型のシステム」と書かれている場合、ベンダーは基本的に両方の方式を提案することになります。

⑥ 社内でコンセンサスを取って作成する

プロジェクト関係者からコンセンサスを得ていないために、必要な内容がRFPから漏れているケースがあります。逆に、成功するプロジェクトでは、RFPの時点でユーザー企業側の体制がバイネームで明記されていることが多いです。そして、役員から現場の社員まで、何のためのプロジェクトなのかが周知されており、それぞれの立場に応じて協力する体制になっています。目的を明確にすることは、RFP作成だけでなく自社内の体制づくりでも重要なポイントです。

⑦ 他システムとの連携を網羅する

会計システムは、最終的な受け皿になるシステムです。必ず上流のシステムがあり、そのシステムと新しいシステムの連携方法を考慮して設計することが必要です。例えば、1日あたり数万件の伝票が流れてくるケースでは、ハードウェアも含めた性能の問題が発生することもあります。そのため、データ量や使用頻度についても説明しておきましょう。特に請求の仕組みなど、取引先の要件に依存する部分については、あらかじめRFP上で説明することが大切になります。

また、クラウドベースのシステムではインターネット接続が前提となりますが、ネットワークまで考えずにSaaSを選択するケースは多く、インターフェースについて発注側とベンダー側で齟齬が出るリスクもあります。例えば、会計はクラウド上にあるが、それ以外の連携する社内システムが社内LAN上にある場合、セキュリティや性能も含めて接続の方法をよく検討する必要があります。

図:RFPは重要なコミュニケーションツール不備は後のトラブルのもとに

3. 超寿命クラウドERP「ProActive C4」について

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