コラム

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2022.10.19
専門家解説(経理財務編)

経理DXを実現するためのステップとは?
目指すべき経理部門の姿と有効なソリューションを有識者が解説

2022年1月に改正された電子帳簿保存法や2023年10月に施行を控えた消費税インボイス制度など、ビジネスを取り巻く環境の変化へ経理部門は対応する必要があります。また、DXによる新たな価値創出も期待されている中で、経理部門はどのような取り組みから着手するべきなのでしょうか。そこで今回は、AIを用いた技術を中心に企業における経理業務の改革支援を手掛けるファーストアカウンティング 代表取締役社長の森 啓太郎氏に、そのポイントをお聞きしました。

1. 変革期にある経理部門の課題とDXで目指すべき姿

「いま経理部門は大きな変革期を迎えている」と、経理DXをサポートする森氏は指摘します。その背景にはコロナ禍で進むニューノーマルへの対応があります。経理業務を支えるシステムは多くの機密情報を取り扱っており、クラウドを不安視する企業はオンプレミス製品を導入する傾向にありましたが、コロナ禍に突入してからは、リモートワークに対応するためにクラウド化が進んでいます。

「クラウドで業務を完結できる体制まではできずとも、紙の請求書を廃止し、PDF化する企業が増えました。この面を見ると電子化は進んでいますが、紙とデータが混在したことで請求書の管理が複雑になった上、二重支払いなどのトラブルも発生しています」(森氏)

また、採用したクラウドサービスが各社で異なるため、さまざまな請求書のフォーマットが混在し、受け取る側にとっては必ずしも業務効率化につながっていないケースも見られます。

現状では経理部門の業務に課題は多いですが、DXへの取り組みは避けて通れない大きな課題です。その理由はこれからの人材不足への対応はもちろん、経理部門がより付加価値の高い業務に注力できるようにするためです。これこそが今後経理部門が目指すべき経理DXの姿だと森氏は強調します。

「ERPの入力作業のような単純作業はデジタルに任せ、財務的な視点からの経営陣へのレポート、営業向けのフィードバック、そして内部統制といった付加価値の高い仕事に時間を割くべきです。理由は、経理は経営参謀であり、経理を大切にしている会社や会計力が強い組織は業績が良いからです」(森氏)

2. 経理DX実現のために必要なステップ

では実際に経理DXを実現するにはどんなことから始めればよいのでしょうか。取り組みを進めるために必要なステップをご紹介します。

① あるべき姿を考える

前提として森氏は「As-Is(現状)の業務やシステムにとらわれず、To-Be(あるべき姿)としてシステム導入後にどのような業務プロセスを目指すかを描くことが重要」だと指摘します。既存業務のAI化や自動化だけでプロジェクトをスタートすると、うまくいかないケースもあります。AIが得意なところ、人が得意なところを理解した上で、業務を改革することが大切です。

② 電子化と合わせて業務自体や業務プロセスを見直す

DXの取り組みでは書類の電子化・データ化が必須ですが、さらにデータが発生する前後を含めた業務を見直すことが重要になります。「業務効率化、その先のDXのためには、電子データがスムーズにERPとつながる仕組みの導入や業務プロセスの見直しが必要です」と森氏は指摘します。

2年間の宥恕期間が設けられた電子帳簿保存法(電帳法)における「電子取引における電子保存の義務化」の期限も、消費税インボイス制度の施行も2023年に控えています。インボイス制度では、請求書受領の際に相手が適格請求書発行事業者であることのチェックや、計算方法が変わる消費税額の検算が求められます。既存の業務フローにこうした変更点をどのように組み込むのか考える必要があります。

③ フォーマット集約による標準化を図る

業務の見直しには、バラバラであった手順やフォーマットの統一化、標準化が有効です。一例を挙げると「Peppol(ペポル)」への対応があります。森氏も「データ・フォーマットが異なる請求書の取り扱いはスムーズな業務を妨げる要因であり、そのフォーマットの集約に取り組むことは経理業務に大きな効果をもたらします」と強調します。

「Peppol(ペポル)」は、請求書などの電子文書をネットワーク上でやり取りするための国際標準仕様です。その管理はベルギーの非営利組織「Open Peppol」が行っており、約40か国で導入されています。日本では、2021年9月、デジタル庁がPeppol管理局(Japan Peppol Authority)となり、日本の標準仕様(JP PINT)の管理・運用などを行っています。

「主要会計システムベンダーやERPベンダーがPeppolを採用する意向を示しており、請求書フォーマットの統一化が進みつつあります。これからのDXを念頭に考えれば、Peppolに対応したシステム導入は必須だと言えます」(森氏)

3. 経理DXに有効なソリューションと注意するべきポイント

経理DXに有効な方策は数多く存在しますが、即効性の高いものとして森氏が挙げるのがAI-OCRの利用です。電子化が進んでいるとはいえ、紙の請求書が完全に撤廃される可能性は少ないでしょう。

そこで紙の請求書をAI-OCRでデータ化する体制を整えることは、効率的な経理業務遂行のために有効です。インボイス制度施行前に取引先から受領した請求書のデータ化にも役立ちますが、同制度では請求書フォーマットが大きく変更されます。そのため、座標定義型や帳票定義型のOCRを利用していた場合、既存のシステムは継続使用できなくなる可能性に注意が必要です。もっとも、システムの改修はOCRだけの話ではありません。

「経済産業省が『2025年の崖』と指摘するように、独自に構築した基幹システムでは、インボイス制度などの対応に向けた改修が困難なケースも散見されます。法制度の変更へ柔軟に追従できるシステムへの入れ替えも視野に入れつつ、年内に対応方法を検討する必要があるでしょう」(森氏)

特定の法対応、技術導入に限らず、各社のDXレベルに応じた取り組みを選ぶことがポイントです。「現場に受け入れられやすい展開を考える必要があります。PDFのメール添付など、ワークフローを大きく変えずに済む対応から徐々に進めることも検討したいところです。各社のDXレベルに沿った調節が重要です」と森氏は説明します。

さらに社外への対応を慎重に行うことも重要です。
「インボイス制度に伴い、企業は取引先の免税事業者に、適格請求書発行事業者へ登録してほしいと考えるかもしれません。しかし、取引先とのコミュニケーションを間違えると、下請法に抵触する恐れもありますので、慎重さと丁寧さが求められます」(森氏)

4. 変革期を迎えた経理部門に有効なSCSKのクラウドERP「ProActive C4」

森氏が先述するように、経理業務の改革には単に書類の電子化だけではなく、情報を格納して管理するERPや会計システムまでを含めて考えなければなりません。そうした中でSCSKでは、経理業務改革を支えるためのERPソリューションとして「ProActive」を提供しています。先述したAI-OCRによる請求書・領収書読み取りにも早期から対応し、今後はPeppol対応も予定しています。クラウドサービスとして提供される「ProActive C4」は、29年間にわたって総勢6,500社、300の企業グループを超える導入実績を持つProActiveの最新版です。消費税法や電帳法といった法制度に対応し、その先のコンプライアンス強化や業務効率化にぜひ活用をお考えください。

ファーストアカウンティング株式会社 代表取締役社長 森 啓太郎

ファーストアカウンティング株式会社
代表取締役社長
森 啓太郎

ソフトバンク株式会社を経て、アカマイ・テクノロジーズ日本法人立ち上げに参画。営業本部長に就任し、2008年度営業成績は世界No.1などの実績を残す。「AIを使うことで会計書類の自動データ化と自動仕訳が可能となれば、人手不足の解消に貢献できると共に、重要業務にリソースを割くことができる」という考えのもと、2016年6月にファーストアカウンティングを設立。現在、AIを活用した経理業務改革を推進している。

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