コラム
クラウドERPコラム(第4回)– バージョンアップでは限界!? ERPのリプレースを成功させるには?
ERP、とりわけ、会計システムや人事給与システムでは、頻繁に行われる法制度の改正によってシステム変更を余儀なくされるケースが多々あります。これに対応するためにバージョンアップするにも、コストや人的負荷がかかってしまい、結果としてTCOを押し上げる要因となります。今回は、会計や人事給与向けERPパッケージを上手に運用していくにはどうすればいいのかを考えていきます。
1. ERPのサポート終了にどう対応するか
ERPのリプレースにはさまざまな理由が考えられます。特に、会計や人事給与システムは、法改正に対応しなければならないことが多く、バージョンアップも頻繁になります。
一般的に、ERPは全てのモジュールを同一バージョンで利用することが前提になります。そのため、法改正への対応によるプログラム更新のために、アドオンやカスタマイズ部分への影響確認や最新プログラムに合わせた再定義を行わなくてはならず、費用と作業工数が大きくなってしまうことになります。本来バージョンアップは、法改正や新機能提供のためのものですが、一方でERPベンダーのサポートを受け続けるためにバージョンアップの必要に迫られるという側面もあります。
プログラムを更新すべきモジュールとプログラムの更新が不要なモジュールを分離して運用できれば問題は解決しますが、ERPという一体化したアーキテクチャゆえの課題がこれを阻んでしまいます。
また、ソフトウェアやハードウェアのサポート終了によって、バージョンアップやリプレースを余儀なくされるケースも数多くあります。そのほか、成長企業が事業規模を拡大させたり、M&Aによりグループ化したりするときなどにも、リプレースが必要になります。
2. クラウドERPという選択肢
会計システムや人事・給与システムは法制度の改正に頻繁に対応しなければならない反面、企業ごとの独自性は比較的少ないため、カスタイズが少なく済むことが一般的です。「かゆいところに手が届く」というほどの水準まで要求しなければ、ERPベンダーが提供する標準機能だけで、企業のニーズに対応できるケースが多いのです。そこで検討したいのが、SaaSで提供しているクラウドERPを活用することです。
クラウドERPであれば、法制度の変更などにはERPベンダー側がSaaSのバージョンアップという形で対応します。ERPのユーザー企業が自身のシステムに手を加える必要はないため、ソフトウェアのバージョンアップにかかるコストを追加で負担する必要がなくなります。また、当然ながらハードウェアの刷新も不要です。ERPを維持するための大きなコスト負担が避けられるだけでなく、基本的には月額費用などの形で一定額を支払えば済むため、ERPの予算を平準化できるのです。
従来、ERPにかかわる保守負担の大きさは、ユーザー企業の費用面だけでなく、長時間労働を強いられるエンジニアやコンサルタントも悩ませてきました。恒常的なIT人材不足という課題や働き方改革の実践が議論される中、クラウドERPを活用することによって人的な作業負荷を軽減できることは大きな魅力です。担当者は、サーバーの管理・運用、バックアップなどの作業から解放され、自社のビジネスの競争力に関わるような、より付加価値の高い業務にシフトできるようになります。
3. SCSKのクラウドERP「ProActive for SaaS」
SCSKは、そのクラウドERPとして「ProActive for SaaS」を提供しています。ProActive for SaaSは「会計」「人事給与」「勤怠管理」「経費」の4つのサービスで構成しており、各サービスは単独で利用できるため、最初に人事給与を導入し、徐々に他のサービスを活用しながら、無理なく業務プロセスを最適化していくことが可能です。
また、ProActiveは、オンプレミス版で「販売管理」モジュールを提供しています。販売という自社ビジネスのコアとなる機能は、カスタマイズを行い、売り上げの最大化を可能にするシステムとして導入した上で、会計や人事給与はクラウドERPを活用するというハイブリッド構成のERPを構築することも可能です。
販売管理システムのデータと会計システムがつながれば、決算の早期化を促せます。人事システムとつながっていれば、新しい人事考課手法の確立にもつながります。このように、クラウドERPとオンプレミスのそれぞれの長所を組み合わせることで、無駄のない筋肉質な情報システムを構築し、高い競争力を持つ企業への進化が期待できるのです。
クラウドERPコラム
- 第1回 改めて考える、ERP導入のメリット
- 第2回 進むERPのクラウドシフト
- 第3回 「働き方改革」に不可欠な経費精算や勤怠管理を、ERPで実現するメリット
- 第4回 バージョンアップでは限界!? ERPのリプレースを成功させるには?
- 第5回 クラウドERPを導入・成功に導くステップとは?