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2021.08.23
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2021.08.23

【知っておきたい経営・ビジネス用語解説】
エンプロイーエクスペリエンス(EX):従業員体験の違いが企業の業績を左右する

企業において従業員が経験する価値を示す概念である「エンプロイーエクスペリエンス」(EX: Employee Experience)への取り組みが、急速にクローズアップされてきました。従業員の満足度をいかに高めるかが、人材の定着や採用、生産性の向上につながるなど、今後の企業の業績を左右する重要な要因になります。EXのメリットや、取り組み方などについて紹介します。

1. エンプロイーエクスペリエンス(EX)とは

「顧客体験」を意味するカスタマーエクスペリエンス(CX: Customer Experience)いう言葉が一般化する一方で、「従業員体験」を意味するエンプロイーエクスペリエンス(EX)という言葉も聞く機会が多くなりました。採用プロセスから入社後のトレーニング、業務中、別の部署への異動や退職時、さらには退職した社員とも連絡を取るなど、従業員と良好な関係を続けることの重要性を示す言葉です。

具体的には、仕事で得られる達成感や社内での評価はもちろん、スキルアップなどによる働きがい、オフィス内のデザインなどを含めた職場環境やカルチャー、残業時間の多さ、福利厚生を含めた待遇、ワークライフバランスへの意識などもEXに含まれます。

では、なぜEXに注目が集まっているのでしょうか。最も大きな要因は、産業構造の変化や少子高齢化、人口減少を背景に、今後人手不足が常態化すると考えられていることです。厚生労働省の報告書「今後の雇用政策の実施に向けた現状分析に関する調査研究事業報告書」※1では、企業が労働条件や職場環境などの雇用管理の改善に取り組むことが、従業員の意欲や生産性向上、業績向上、新卒や中途採用を含めた人材確保に結びつくことを指摘しています。また、転職を防ぐという効果も期待できるでしょう。

報告書では、従業員満足度と顧客満足度の両方を重視すること、雇用管理の改善に継続的に取り組むことが重要になると指摘しています。

2. EXのメリット

EXの企業側の大きなメリットである人材確保、業績向上について、さらに掘り下げてみましょう。

前述の調査によると、例えば、従業員の評価・キャリア支援施策を「10年以上前から実施」している企業は、営業利益率・従業員数の水準が総じて増加傾向にあることが分かります。従業員の評価・キャリア支援施策とは、「専任の人事担当者を設けている」「働きぶりを評価し昇給や昇進に反映する仕組がある」「人事評価結果とその理由をフィードバックしている」「社員一人ひとりの育成計画を作成している」「管理職の評価項目に部下育成への取り組みを含めている」といったことです。

また、従業員の評価・キャリア支援施策を、5年より10年というように長期に実施している企業のほうが、現状の営業利益率・従業員数の水準が増加傾向にあることも見てとれます。

3. EXを高めるための取り組み

EXを高めるための取り組みは多岐にわたります。リモートを含めたオフィス環境や労働時間などの就労環境の改善も重要な取り組みですが、ここでは近年注目されている施策を紹介します。

従業員アンケート、1on1ミーティング

従業員アンケートは、従業員が持つ不満や希望などを直接聞き出し、数値化できるため、課題が明確化し、検討すべき施策が浮き彫りになるメリットがあります。同様に、上司と部下の関係で1on1ミーティングを実施することで、EXに直結する情報を引き出すことができます。

エンプロイー・ジャーニー・マップ

エンプロイー・ジャーニー・マップの導入を検討する企業もあります。応募者が自社を知り、入社して従業員として働き、退職後はそれぞれ別のフィールドで活躍するというプロセスの中で、従業員がどのような経験をすると、どんな気持ちを持つのかなどを1枚のマップに整理するものです。

キャリア形成支援、タレントマネジメントなど

タレントマネジメントと呼ぶソフトウエアを導入し、従業員のキャリアの可視化と形成を支援する仕組みも出てきています。採用、育成を実施する上で従業員のスキル情報を参考にすることにより、従業員と企業のパフォーマンス最大化を目指します。次代のリーダーを育成するための有力な情報源にもなります。

4. EX向上に取り組む企業事例

EX向上というと、新しいことのように思えますが、実はそうではありません。多くの企業が継続的に取り組んでいる「働き方改革」と同様の考え方だと言えるでしょう。厚生労働省が運営する働き方改革特設サイトには、数多くの事例が掲載されており参考になります。

例えば、徳島県でパーツの製造・販売を手掛ける西精工株式会社は、2013年に「日本でいちばん大切にしたい会社大賞中小企業庁長官賞」、2017年に「ホワイト企業大賞」を受賞するなど、働きがいがある職場として高い評価を受けています。

同社では、経営理念を制定し、社員に浸透を図るためコミュニケーションツールで社長と社員が対話。その内容は文書化され「西精工フィロソフィー」となり、朝礼で共有されています。また、人事評価と給与体系の見直し、評価項目を「役割」「スキル」「目標管理」の3項目で設定。評価基準の見える化を図ることで、何を頑張れば認められるかが明確になりました。こうしたことが、社員の働きがいにつながっています。

また、飲食店チェーンのスープストックトーキョーでは、年間12日の「生活価値拡充休暇」を定め、休みが取りづらい飲食業からの脱却を図ることや、休みの活用法として「ピボットワーク制度」を設け、グループ内や他企業への複業を認めるなど社員のスキルアップへの意欲を後押ししています。また、「セレクト勤務制度」により、1日8時間のフルタイムから6時間まで30分刻みで5段階の勤務時間が選べる制度を導入。育児、自己研鑽などに活用されています。

前述の厚労省の調査でも、EXの取り組みを実施している企業では、「経営ビジョンがあり従業員に浸透している」「採用では会社の理念に合う人材であるかどうかを考慮している」としている割合が高くなっています。つまり、まずは会社のビジョンや理念を明確にすることが重要だと言えそうです。

5. ProActiveでできること

SCSKが提供するERP「ProActive」では、目標管理システムやタレントマネジメントシステムなど、EXの向上を図れる仕組みを整えています。さらに、クラウド型人財管理システム「HRBrain」と人事データを連係することで、人事評価や人材データの活用と給与計算などを一体としてサービス提供できるようになります。

テレワークの一般化などの背景もあり、今後エンプロイーエクスペリエンスの重要性は高まるばかりです。人事業務を一気通貫で実施するなど、人事労務業務の効率化を支援するための方法について、情報収集しておきたいところです。

図:ERP「ProActive」とクラウド型人財管理システム「HRBrain」の連携

図:ERP「ProActive」とクラウド型人財管理システム「HRBrain」の連携

※1 厚生労働省:今後の雇用政策の実施に向けた現状分析に関する調査研究事業報告書(平成28年3月)

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