コラム
2021.06.15
健康経営:取り組むメリットと導入ステップを解説します
【知っておきたい経営・ビジネス用語解説】
昨今、働き方改革によって、残業時間の削減や有給休暇の取得日数の増加などを目指す企業が増えてきました。それを一歩進めて、従業員の健康に積極的にコミットし、健康増進をサポートする「健康経営」というコンセプトが注目されています。社員の健康増進を進めることで、個々の社員がいきいきと仕事ができるだけでなく、企業にとって様々なメリットが生まれます。
1. 注目され始めた健康経営
「健康経営」という言葉は経済産業省から発せられました。平成26年に、企業による健康経営を促進するために、厚生労働省が進める「データヘルス計画」と連携し、「健康経営」のポイントをまとめたガイドブックが策定され、平成28年には改訂版※1が出されています。
従業員の健康に関する問題は、従来個人のものとして捉えられがちでしたが、ガイドブックでは、健康管理にかかわる支出を経営にとっての投資と捉え、積極的に会社が従業員の健康増進をサポートすることで、さまざまなメリットが生まれるとしています。健康診断などの受診を促すだけでなく、診断データを管理して従業員とともに具体的な健康増進や疾病の早期治療に取り組むことで、業績アップにも貢献できるというわけです。
また、経済産業省と東京証券取引所では、東京証券取引所の全上場会社の中から「健康経営」に優れた企業を「健康経営銘柄」※2として選定しています。
2021年の健康経営銘柄には29業種48社が選ばれ、SCSKも7年連続で選定されました※3。7年連続で選定された企業は、調査対象企業2,523社のうち6社のみです※3。SCSKでは健康経営を推進することで、2019年度の健康診断の受診率は100%を継続、ストレスチェックの受検率は90%以上を継続しています※4。また喫煙率は年々低下し、2020年度には15.0%まで改善しているほか、残業時間や有給休暇取得率も向上しています※3。
2. 健康経営に取り組むメリット
健康経営に取り組む企業側の大きなメリットは、従業員が健康を害して休職や退職するリスクが軽減されることです。突然の病気で従業員が仕事に参加できなくなると、プロジェクトの進捗が遅れて収益にも影響しかねません。健康であることで仕事のパフォーマンスが向上し、生産性の向上や業績向上につながることも期待できます。
また、今後従業員の平均年齢が高くなっても、健康なベテラン社員が活躍することで若手社員への安定的な業務継承も可能になります。さらに、社外から従業員を大切にしているという良いイメージを持たれ、既存顧客の維持や新規顧客の開拓にもプラスになる、採用活動がスムーズになる、といった効果も期待できます。
一方、従業員にとってもメリットがあります。健康管理は大切だと分かっていても、飲酒、喫煙や食生活などの習慣はなかなか個人で正すことは難しいものです。会社が健康経営に取り組むことで、健康管理や生活習慣の改善、重大な疾病の予防や早期発見につながります。また、健康が保たれることは精神面での安定をもたらし、ストレスのない溌剌とした気持ちで仕事に向かうことができるようになります。
3. 健康経営の導入方法
健康経営の導入では、会社が従業員の健康についてどのように考えているか、健康増進の目的や狙いといったコンセプトを明らかにしておくとよいでしょう。従業員の中には、健康であるか否かが人事考課にも影響するのかと心配するケースもあります。なぜ会社が従業員の健康状態にコミットするのか、個人データについての取り扱いや利用方法などを提示しておくことが大切です。
例えば、喫煙について考えてみましょう。健康を害するリスクがあることは分かっていても、「個人の嗜好」について頭ごなしに否定することは反発を招く恐れもあります。会社がどういうスタンスで対応するのかを明確にしておく必要があります。
全体のコンセプトを定めたあとは、会社と従業員が健康に関してどのようなデータを共有するか、それらをどう評価していくのかといったことを決めていくとよいでしょう。また、研修計画や定期的なアンケート実施、どのようなインセンティブを従業員に与えるのかといったことも検討しておく必要があります。インセンティブがあることで、それを次への励みとする人や、「もう少しがんばろう」と考える人も増えてくるでしょう。
4. 健康経営で活用するツールと求められる機能
健康診断やストレスチェックなどのデータやアンケートの回答結果などは、いつでもすぐに本人が閲覧できるように、勤怠管理システムなどと連携させておくとよいでしょう。
個々の健康データは重要な個人情報なので、第三者が閲覧、ダウンロード、印刷できないようにする仕組みが求められます。クラウドサービスの中からこうしたシステムを選定する場合は、セキュリティ面での機能をしっかり確認しておく必要があります。万が一セキュリティインシデントが発生すれば、従業員の健康経営への協力も得られなくなる可能性があります。
5. ProActiveを活用した勤怠管理と健康経営
SCSKでは、従業員の勤怠状況を一元管理できる「ProActive勤怠管理」を提供しており、在宅勤務やリモートワークなど新たな働き方に即した適切かつ効率的な勤怠管理を支援しています。また、BLEタグを活用したIoTソリューションの「CollaboView」と連携させることで、業務を行っている場所や在席情報を把握でき、ProActiveに自動連携させることも可能です。
勤務の実態を手軽に把握することができれば、従業員の健康面での改善にも役立てることができます。不規則な生活になりがちな従業員には、勤務予定を事前に把握して、注意を促すこともできるようになります。こうした管理は従業員の納得が前提となりますが、健康というキーワードと、その目的の正しい理解があれば、積極的に取り組もうという従業員も増えてくるはずです。
※1 経済産業省:企業の「健康経営」ガイドブック~連携・協働による健康づくりのススメ~
※2 経済産業省:健康経営銘柄
※4 SCSK:健康経営
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