コラム
デジタル社会の実現に向けた政府と企業の動きについて、社労士が解説
デジタル・ガバメント実行計画やデジタル手続法、そして2021年9月に発足したデジタル庁など、政府は官民一体となってデジタル化を積極的に推進しています。
今回の記事では、人事労務のエキスパートとして様々なサービスを全国に展開する小林労務が、「デジタル社会の実現に向けた重点計画」と、デジタル社会に向けた取り組みの一つとなる行政手続のオンライン化について解説します。
目次
- 1 「デジタル社会の実現に向けた重点計画」とは
- (1)重点計画とは
- (2)デジタルにより目指す社会とは
- 2 デジタル化に向けた取り組み
- (1)オンライン利用率引上げの基本計画
- 3 デジタル化に向けて企業ができること
- (1)行政手続のオンライン化
- 4 おわりに
1. 「デジタル社会の実現に向けた重点計画」とは
(1)重点計画とは
デジタル技術の発展により、データ活用の重要性が高まっています。日本が世界水準のデジタル社会を実現するためには、将来の目指す姿を描き、関係者が一丸となって構造改革や地方の課題解決、セキュリティ対策など、多くの取り組みを推進する必要があります。
こうした状況を踏まえ、2022年6月に閣議決定された重点計画は、「目指すべきデジタル社会の実現に向けて構造改革や施策に取り組むとともに、それを世界に発信・提言するための羅針盤」と位置づけられています。
これは、世界水準のデジタル社会を実現するために様々な活動領域、分野におけるデジタル化についての指針となります。
(2)デジタルにより目指す社会とは
デジタルにより目指す社会としては、新型コロナウイルス感染症における行政対応が形式的で非効率だったことが顕在化したことを背景に、「デジタルの活用によって、一人ひとりのニーズに合わせたサービスを選択でき、多様な幸せを実現できる社会」を目指しています。
また、デジタル社会の実現に向けて、誰一人取り残されることなく、誰もが、いつでも、どこでも、デジタル化の恩恵を受けることができるようにすることを理念としています。
2. デジタル化に向けた取り組み
(1)オンライン利用率引上げの基本計画
2021年6月18日に閣議決定された「デジタル社会の実現に向けた重点計画」に基づき、各省庁においてオンライン利用率引上げの基本計画が策定されました。
新型コロナウイルス感染症において、社会課題として顕在化した「書面、押印、対面」を原則とした制度や慣行について、抜本的見直しを図り、デジタル化を目指すために以下のことを重点的に取り組むこととなりました。
1. 書面・押印・対面の見直し
書面に押印することを見直し、オンライン化する方針に転換する等。
2. 地方公共団体と事業者の間の手続のデジタル化
オンライン化できる手続とオンライン化できない手続を検討し、速やかに取り組む等。
3. キャッシュレス化の推進
支払い件数が1万件以上の手続等についてオンライン納付を導入する。(原則、窓口支払いに限られる手続やオンライン納付に対応していても、窓口支払いが残ると想定される手続を除く)
3. デジタル化に向けて企業ができること
(1)行政手続のオンライン化
ここでは、行政手続のオンライン化の中でも、厚生労働省管轄である社会保険・労働保険の電子申請について言及します。社会保険・労働保険手続は、2020年4月1日から、デジタル化を目的として一定規模以上の企業に対して電子申請の義務化がスタートしています。
電子申請の手続は、各府省庁が所管する様々な行政機関への申請や届出などの手続を、WEBサイト上で行うことができる電子申請システムであるe-Gov(イーガブ)を通して行うか、外部連携APIに対応したソフトウェア・サービスを利用して申請することができます。
弊社(小林労務)では、2014年に社会保険・労働保険の電子申請に特化したシステム「e-asy電子申請.com」の開発を進め、同年に販売を開始しました。
さらに、2020年からは、社会保険・労働保険の電子申請義務化に伴い、SCSK社開発のERPシステム「ProActive」とe-asy電子申請.comの電子申請連携ソリューションを提供しています。
政府がデジタル化社会を推し進めるにあたって、電子申請の普及率は下図の通り右肩上がりになっています。デジタル化社会の方針は明確になったので、電子申請利用率はますます上がっていくと見込まれます。
4. おわりに
全産業のデジタル化が実現すれば、一人ひとりの日々の暮らしや生活の利便性が向上し、医療、教育等様々な分野において市場拡大が想定されるため、デジタル社会の実現に向けた重点計画の重要性は言うまでもないでしょう。
また、デジタル社会を実現するためには、国だけでなく企業も能動的に取り組むことが肝要です。
社会保険・労働保険電子申請ソリューション
SCSKが提供する「ProActive」給与管理システムと、小林労務が提供する電子申請手続に特化したシステム
「e-asy電子申請.com」の連携により、社会保険・労働保険の申請におけるデジタル化・業務効率化を実現します。
株式会社小林労務(https://www.kobayashiroumu.jp/)
代表取締役社長 特定社会保険労務士
上村 美由紀
2006年 社会保険労務士登録
2014年 代表取締役社長就任
電子申請を取り入れることにより、業務効率化・残業時間削減を実現。
2014年に、東京ワークライフバランス認定企業の長時間労働削減取組部門に認定される。
社労士ベンダーとして、電子申請を推進していくことを使命としている。
関連ページ
社労士コラム
- 社会保険・労働保険の電子申請義務化の対応方法について、社労士が解説
- 電子申請義務化に関するよくある質問について、社労士が解説
- 電子申請システムの導入事例について、社労士が解説
- GビズIDと電子申請について、社労士が解説
- 電子申請義務化に向けた対応 リニューアルしたe-Govについて、社労士が解説
- 高年齢者就業確保措置について、社労士が解説
- デジタル・ガバメント実行計画について、社労士が解説
- 健康保険組合の電子申請について、社労士が解説
- 育児介護休業法の法改正について、社労士が解説
- 社会保険の法改正について、社労士が解説
- 労働保険の法改正について、社労士が解説
- ジョブ型雇用について、社労士が解説
- 女性活躍推進法【2022年4月改正】について、社労士が解説
- 【令和4年10月1日施行】産後パパ育休(出生時育児休業)について、社労士が解説
- 労働安全衛生法とテレワークにおける作業環境のポイントについて、社労士が解説
- 【2023年4月施行】法定割増賃金率の引き上げについて、社労士が解説
- ISO30414について、社労士が解説
- 労働時間管理について、社労士が解説
- デジタル社会の実現に向けた政府と企業の動きについて、社労士が解説
- 【2023年4月施行】育児休業取得状況の公表義務化について、社労士が解説
- 「男女の賃金差異」公表義務化について、社労士が解説
- 給与計算の基本的な流れ:複雑化した給与計算を効率よく正確に進めるためのポイント
- デジタル給与払いとは:導入のメリット・デメリットや導入までの流れについて、社労士が解説
- 年次有給休暇の取得促進について、社労士が解説
- 賞与の計算方法:モデルケースを用いて分かりやすく解説
- 離職票の発行について、社労士が解説
- 【2023年(令和5年)度】職場のハラスメントについて、社労士が解説
- 【2024年(令和6年)4月施行】労働条件明示のルール変更について、社労士が解説
- 【2024年(令和6年)4月施行】裁量労働制の変更について、社労士が解説
- 人事労務担当者必見!2024年(令和6年)度法改正について、社労士が解説
- 【2024年(令和6年)度】労働保険の年度更新について、社労士が解説
- 【2024年(令和6年)度】算定基礎届について、社労士が解説
- 【2024年10月施行】社会保険適用拡大について、社労士が解説
- 改善基準告示 改正と影響について、社労士が解説
- 【2024年(令和6年)度】年末調整の変更点と定額減税の実施について、社労士が詳しく解説